声劇台本「麗らかな日へ」祠の神編
お名前 七瀬
声劇台本「麗らかな日へ」祠の神編
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きつね様の素敵な台本Part弍です!!
一つ前にあげたものと繋がった台本になってて、すごく素敵でした、、(語彙力)
台本さま⛩
あの少年は元気でしょうか。そう思うようになってまた卯月(うづき)を迎えました。
こんな古びた社(やしろ)に毎日花や食べ物を供えてくれたあの子。
依り代(よりしろ)の力が日に日に弱まっていき、人の姿を保つのも困難になってきたある日
「あの時はありがとう」
あの子です。あの子が来てくれました。
嬉しくて嬉しくて涙が溢れます。
彼は照れくさそうに微笑んで
「ずっと待っていてくれたんですね」
頷くことしか出来ない私。
言霊(ことだま)の力が使えない代わりに精一杯笑って見せた。
随分と背丈が伸びたなぁ、顔つきも大人びて時の流れを感じるよ。
それでも君は変わらない、あの頃と何も。
優しくて照れ屋できっと泣き虫。
ちゃんと家まで帰れるだろうか?
今度は見送ってあげられないけど、君ならもう大丈夫だね。
私は彼の姿が見えなくなるまで手を振った。
身体はいつしか、春の風へと溶け込む─。
さようなら、麗らかな日。さようなら。
良き縁(えにし)に感謝しております。
#声劇台本 #朗読 #ノスタルジー #きつね劇場
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