【オリジナル台本】字喰いの妖

台本→毒 妖→コラボ様 × 青年→近ド・マーブル

#声劇 #オリジナル台本 #和風 コラボさせていただきました！ 『ああ。アンタが美味そうなもんを持っとるからの』 「？手紙しか持ってないぞ」 『私は文字を喰うのだ』 白い妖は、その日から俺の手紙の文字を喰いに現れた。二日に一度、森の入り口で、待ち伏せているのだ。 「お前...もう少し上品に喰えないのか」 『私はいつでも上品だ』 そう言っては、口の周りを真っ黒に染めていた。 『なんだ、随分と味が落ちたの』 「それは弟の字だ」 『字の練習に励めと伝えておけ』 妖曰く、俺の文字がお気に入りらしい。女の書く文字なんかは食えたものじゃないとも言っていた。 「今日は手紙を持っていないぞ」 『ならば書けばよかろう』 それからは二日に一度、ヤツに手紙を書いてやる様にした。妖は文字を読んでから喰うようになった。 ある日、二度続けて妖が現れないことがあった。 「おい、手紙を持ってきたやったぞ。どこかに隠れているのか？おい…」 以来、妖と会うことは無かった。 今思うと、あの森の入り口近くで、白い野犬の亡骸を見たのだが、その口元は、黒く汚れていた気がする。