朗読「廻り灯列車」
桧垣
朗読「廻り灯列車」
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#朗読 #声劇 #1人声劇 #台本 #白岩ぱんだの台本
漆黒(しっこく)、列車の音
列車に乗っていたら、こんなところまで来ていた
乗客は誰もいない
トンネルを抜けると、灯りで満ちていた
あぁ、綺麗だ
キラキラと光が反射して歪んだ空が見える
やがて紺碧(こんぺき)、波の音
遠くで泣き叫んでいる君がいる
何か言葉をかけたいけど言葉にならないや
また会えたらちゃんと言えるだろうか
やがて緑青(ろくしょう)、風の音
草原を駆ける風が気持ちいい
隣で幸せそうに君が笑うから
この気持ちに名前をつけたくなって白い絵の具を手に取った
やがて木蘭(もくらん)、食器の音
目の前には友人がいる、その視界の隅っこに君がいた
ふとこちらをみては目をそらす
いつもより早い鼓動、いつもどおりの食堂
やがて茜(あかね)、誰かの泣き声
夜に変わる空の境目で、静かに別れを告げた
列車に乗っていたら、こんなところまで来ていた
乗客は誰もいない
この気持ちを形にしたくて白い絵の具を探している
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