【朗読台本】少女の見解

語り/ 演奏/彗

彗さんの演奏する ノクターン第2番 /Waltz style - Chopin をお借りしました。 この曲はとても柔らかいイメージがあったのですが、 彗さんの演奏はその中に激しい部分があるように感じて 面白いなあと思いました。 #BGM －－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ わたしは清廉(せいれん)で在りたいのだ。 本を読むのが好きだ。 物語の中では わたしのイメージした通りの人物が 苦悩し、戦い、恋をする。 それはわたしの想像力の介在し得ない 映画やドラマでは味わえない甘美な世界だ。 その為にもわたしは 煩(わずら)わしいことに関わっているヒマなど ひと時もないのだ。 一つ だれかを貶(おとし)めてはいけない 二つ 優位に立ってはいけない かといって、蔑(さげす)まれてもいけない 三つ 情欲に溺れてはいけない 色情(しきじょう)に溺れた女の最後なんて いつだって悲惨なものだと相場が決まっている。 風邪でもないのに 熱にうなされるなんてつまらない。 水辺でもないのに 息が出来ないなんて馬鹿げている。 激しい恋も 哀しい恋も 物語の中にはあたり前に溢れている。 激しい想いに身を焦がしては 哀しい結末に涙してはいつも思う。 物語で良かったと。 なのに なんてわたしは幼かったのだろう。 わたしは恋を知った。