こいのはなし。

楓（琥珀）×白狐（ヒョーマ）

#声劇 #声劇台本 #台本 #和風 #掛け合い #コラボ #狐 #恋 #コメント返す ひょーまとコラボ〜🎶 ひょーまどんどん上手くなって表現豊かになって本当に凄すぎ(((;꒪ꈊ꒪;))) 私も置いていかれないように頑張らなくちゃ(๑•̀ •́)و✧ ひょーまの安定の上手さどうぞ聞いて言ってください٩(ˊᗜˋ*)و✨ ●楓(かえで) ○白狐(びゃっこ) 茜里(せんり) 愛い(うい) 妖(あやかし) 顕現(けんげん) 眞名(まな) 御降り(おくだり) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●これは、私と狐の、始まりのお話。 ●「初めましてお狐様。私、楓と申す者です」 ○「…ほう、お主それは眞名(まな)か。妖(あやかし)に惜しげも無く教えるなど面白い娘よのう。」 ●「…それでは、また後程(のちほど)。」 ●「私はただの人の子です、貴方様の御降り(おくだり)の対価にはならぬことでしょう。ですがどうか、」 ○「お主はまだ幼い。この狐と少しの時だけでも暮らしてはくれんか？なに、俺の顕現(けんげん)の力ももう、微々たるモノよ。」 ●「私はバケモノだから、触らない方が」 ○「くくっ…そうかそうか、バケモノかあ…では俺達は、似たもの同士かもしれんな」 (ガラスをわる音) ○「どうした？…大事無いか？」 ●「どうして優しくするの…？」 ○「…やはり憎めぬ、人の子は愛い(うい)モノよ。」 ○この一瞬(ひととき)を忘れることはないだろう。 ────チリン ○「お別れだ。楓」 ○ お前に幸多からんことを ●「私に力があるのなら、全部あげる！だからあの人を返して…！」 ○ これは、俺ととある娘の恋の話。 ●やっと気付いたの…私は、 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 茜里家は白狐に仕える代々続く名家。先代は皆、強く美しい霊力を受け継ぎ、白狐を守り神として祀ってきた。代替わりの度に御降りされた神霊はその代の主の霊力を対価とし、この家を守っていた。 けれどそれは上辺だけの守り神だった。 白狐を長年縛り付け、守り神と称して拘束し、力を奪った茜里家は一時的に最盛期を迎えたが、それも一時の夢のようなもの。何故なら神格の高い白狐など人に操れるものではなかったのだから。 神の逆鱗に触れることとなった茜里家は暴落し、どうにか白狐の怒りを鎮めようと考えた。 その結果が、霊力の多い人の子を生贄として茜里家の屋敷に閉じ込めること。 楓は此処に生贄として放り出されたただの人の子。霊力が並外れた量あるだけのまだ年若き女子。 楓は名目上後継に恵まれなかった茜里家の養子、とされたが、国中の皆が彼女が生贄であることを知っていた。 神に真の名前、眞名を教えることは禁じられ、教えたら最後、神隠しされてしまうと大昔から人の間で囁かれた。眞名を教えるということは神隠しされても良いと言うようなもの。 そのため、この家の主は赤子の時に眞名と仮名(かな)を与えられる。 白狐は人の子に絶望し、顕現する力が尽きるのを長くひとりで待っていた。茜里家の屋敷の中で一人消えていくことを選び、人間に怒り狂うこともしなかった。 生贄として屋敷に来た楓のことを、白狐は酷く哀れに思った。この子に何の罪もないことなどすぐに分かった。彼女の魂はとても澄んでいて、綺麗な姿をしていたから。楓は人より霊力が多い故に他人が見えぬ者も見えた。楓は恐れられ、遠巻きにされ、時には虐められもした。人を信じられなくなった楓は白狐の生贄として閉じ込められることに何の抵抗もなかった。白狐が怒り狂えば人の子などどうにでもできてしまう。ならば自身のことなどひと呑みにでもしてしまうのだろうと。 けれど白狐は楓を殺すことも、怒りをぶつけることもしなかった。楓を哀れに思うあまり優しく接するようになったのだ。そんな白狐が予想外で、恐ろしくてしかたなかった。優しくされたことなどない楓はただ不思議で分からなくて怖かった。そんな楓を包み込むように愛でた白狐。楓が白狐に心を許すようになったのは、それから長く時間を要した。 顕現力が尽きるのを待ち続ける気でいた白狐は自身が消えるまで、彼女を大切にしようと決めていた。彼女の気持ちに気付くこともなく。ただ穏やかに彼女の行く末を見守ろうと決めていた。 楓が心を許し、それが恋に変わった頃には白狐 が顕現できるのも残りわずか。そろそろ別れがやってくると消えかけていた手を擦りながら、白狐は彼女に加護を与えた。 消えていった後、楓は初めて恋した白狐のことが忘れられなかった。想いは募り、何度も何度も彼と再会する夢ばかりみた。 白狐の力が途絶えた屋敷に茜里家が気付き、恐る恐る覗くと、中には生贄に出していた楓がいるではないか。楓には多大なる力がある、これは良いと考えた国中の皆は、次の守り神を顕現させようとしたのだが────