【戦】拍手喝采歌合
supercell
【戦】拍手喝采歌合
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ちょっとテーマに合ってるか心配だけど、好きな曲で。
エフェクト:エコーstage25% ×2
選曲理由:
歌詞より
・浅き夢、うたた寝…春っぽい
・仇桜…桜
あと、曲が和風な雰囲気だったから(;´∀`)
以下、ちょっとした小話を書いてます。
物語に際して自分なりの設定がついてます。
小話『練習風景』
関ヶ原の一角にて。
島国の陣跡からは少し離れたところに、拓けた場所がある。私はよくここで練習をしたり、何かごちゃごちゃとした考え事をしたり、ただぼーっとしたり…まあ、過ごしやすいお気に入りの場所みたいなものだ。
(今日は彼岸花か)
この間は日々草、その前は小手毬…ナスタチウムなんてのも咲いてたことあったな。
ここはいつも何かしらの花が咲いている。今日は目印にしている大岩の周りに、赤々とした彼岸花が咲いていた。
今は春だというのに、こんな風に何故かひどく時期外れのものも咲くことがあり、景観や成長速度もなにもお構い無しだ。自由すぎる。
「…まぁ、夢の中だしな」
とても便利な魔法の言葉だよ、ほんと。
変わらないのは、大岩のそばにある一株の鬼灯だけだ。これだけは変化せずにいつもここにあり、5つの実と2つの花をつけている。
自分と同じ名前の花だから、目印にはいいだろう。
そんな程度の認識だ。
「さて、今回のお題は『桜』か…」
周囲に誰もいないことを確認して、目を瞑る。
別段、何を思い浮かべるわけでもない。
しかし目を開けると、景色は一変していた。
100m四方ほどの空き地。その周囲をぐるりと桜の木が囲んでいる。
まだ芽も膨らんでいない、冬の桜。
よくこうして練習風景を変えてやっているが、今日のはどこか懐かしさを感じる景色だった。
ふとあることを思いついた。
ちょっとした力試し、だ。
「ねぇ、聞こえていますか?」
空に向けて、誰にともなく語りかける。
これは単なるひとりごとだ。
けれど、空間が僅かに揺らいでいるのはわかる。
多分、関ヶ原に存在する影たちだろう。
「さて、これより一曲披露いたします。…もし認めていただけるのならば、この桜を満開に」
手を振るえば、朱色の扇が現れる。
本当になんでもありなんだな、と思わず口角が上がる。
ただ歌うだけではいつもどおりすぎて面白くないだろう。たまには歌だけでなく、踊るのも悪くはない。
多分体は覚えているはずなんだ。
私は大きく息を吸った。
『さあさあ皆様、お手を拝借』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
十二 今日超えて 果ては夢か幻か
さあさ 今宵お聞かせ給うのは
修羅と散る物語
浅き夢見し うたた寝の中で
人の定めは かくも果敢無きもの
己が刀 七つ花 相容れぬは赦すまじ
この世はうたかた 流るるままに
十二 酔いもせず 見るは夢か幻か
さあさ 誰も彼もが手を叩く
あなうつくし 仇桜
夜明けに散るとも知れず
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
いつの間にか、自然に閉じていた目を開けると。
「…やっぱり、そんなに甘くないよね」
開花していた桜は半分程度。しかもほとんどは6、7割咲きであった。
満開にはほど遠い。
「あーあ。これはまだ伸び代があるととればいいのか、まだまだ実力不足というか…」
かしかしと頭を掻きながら、夜風に枝を揺らす桜を見上げる。
唯一満開にできたのは、この枝垂れ桜一本のみ。
まあ、無理もない。
ろくに現世を覚えていないくせに、ここで何かを紡いでいこうというのだから。
この世界では、いや、『この世界でも』だ、きっと。
まだまだ新米扱いなのだということだろう。
「これから、か…」
見上げた空の月が、雲に翳る。
「先行きが不安だ」と、俺はひとつあくびをした。
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