【声劇】とある罪の数え方 其ノ参【台本】
声劇して下さった方のお名前をどうぞ。
【声劇】とある罪の数え方 其ノ参【台本】
- 13
- 5
- 1
#声劇 #声劇台本 #拍手します #フォローします #コラボ #声劇コラボ #声劇台詞 #1人声劇 #一人声劇 #2人声劇 #二人声劇 #コメントします #拍手返します #フォロー返します #コメント返します #誰かこの手を掴んで離さないで #青オリジナル
【台本】
「警察にでも突き出すか?」
そう自嘲気味に言葉を漏らせば、化野は静かに首を振った。その横顔は窓から入(イ)る西陽(ニシビ)に晒され、輪郭すら薄く、融けていく。
夜が近い。そんな当たり前の事実だけが鮮明になる。
「殺人は珍しい事じゃあないさ」
「…そう、か」
「なんで殺したのか…は、聞いても答えてくれそうに無いね」
自分の固く結ばれた一文字の唇に、「まあ、気が向いた時にでも教えてくれよ」と立ち上がった化野は、入り口の汚れた草履(ゾウリ)を引っ掛ける。
すっかり紫に染まった空は、小さな星を瞬(マタタ)かせ始めた。月は主役の座を降りて、雲にその身を隠していた。
「何処か行くのか?」
「二人分の夕餉(ユウゲ)と、綿(ワタ)を。今夜は少し冷え込みそうだしね。
サチオくんも、来るかい?」
「…殺人犯が夜道を闊歩(カッポ)してたら、それこそだろ」
「違いないね」と小さく笑った化野は、長身の背中を丸め、夜の中に覚束無い足取りで消えた。その姿が何処か行き場を失くした野良猫のように。
吐き出した息に色が灯り始める。化野の通り、今夜は一段と冷え込みそうな夜だった。
Comment
1commnets
- todorokigentaroおはようございます。3作目もコラボさせていただきました。^_^