【シノアリス台本】思い出は夢の中で
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【シノアリス台本】思い出は夢の中で
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シノアリスというゲームの二次創作台本です!
原作のいばら姫とヘンゼルのクロスストーリー(憎悪編4章)。もしナイトメアが現れるのがもう少し遅かったら…という、出会わなかったはずの2人の「出会い」の物語です。
曲をつけたり、好きなところで区切ったり、他の人とコラボしたりするなど、好きに演じて大丈夫です♪むしろ大歓迎!
但し、その場合はコメント欄にでもこのサウンドのリンクをコピペして載せてください♪
一節(いばら姫)
ライブラリ中に木霊するヘンゼルの叫び声。
「もう、戦うなら静かに戦って!」
いくらそう言っても、叫び声は収まるどころか激しくなるばかり。
姫は募る苛立ちを抑えるように瞼を閉じました。
やがて叫び声は止み、穏やかな寝息に変わりました。
きっと泣き疲れて眠ってしまったのでしょう。
あぁ、やっと静かになった。
姫はそのまま心地よい眠りの底に落ちていきました。
戦闘中のセリフ
いばら姫「ん……ここは……お菓子の家?わぁ、おいしそう!」
ヘンゼル「グレーテル……グレーテル……」
いばら姫「げっ…よりによってあの人がいるなんて…。」
二節(ヘンゼル)
お菓子の家を前に目を輝かせる可憐な少女。
お前は、グレーテル…?あぁ、愛しいグレーテル!
三節(いばら姫)
違う!私はいばら姫。グレーテルじゃない!
あーあ、せっかくの良い夢が台無し。
四節(ヘンゼル)
許しておくれ、グレーテル。
お前を拒んだ僕を。
お前を同じように愛せなかった僕を。
五節(いばら姫)
許すことなんてできないわ。
私はグレーテルじゃないんだから!
しかもそれ、さっきも聞いた。
六節(ヘンゼル)
それでいいんだ、グレーテル。
僕は取り返しのつかないことをしてしまった。
許しを請う資格など、ない。
七節(いばら姫)
あぁもう、そうじゃない!
もし私がグレーテルだとしたら、
その籠の中にいるのは誰なの?
八節(ヘンゼル)
そうだ、グレーテルはここに。
でも、もう話しかけても答えてくれることはない。
だって。あの日。大きな竃。燃え盛る炎。この場所で。僕は。あの子を。
九節(いばら姫)
辛いことがあるなら眠ればいいの。
夢の中では何もかも忘れて幸せでいられるんだから。
ほら、お菓子を食べて楽しみましょう?
十節-前(ヘンゼル)
あの子は本当はグレーテルじゃない。心のどこかでは分かってる。
でも今はグレーテル。僕がそう思っている限り。
虚妄だろうと、矛盾していようと構わない。
夢とはそういうものだから。
グレーテルが僕にクッキーを差し出す。
とろけるように甘い。あの日と同じ味。
グレーテルと過ごす、束の間の幸せなひととき。
——それは突然、ナイトメアの叫びに遮られた。
気づけば、そこはライブラリ。
「僕を起こしたのは、誰…?」
僕は目の前のナイトメアにふらふらと歩み寄り、前触れもなく斬りかかった。
戦闘中のセリフ
ヘンゼル「返せ!グレーテルとの時間を返せ…!!」
いばら姫「ちょっと、ヘンゼル!?」
ヘンゼル「違う。グレーテルの時間を奪ったのは──!あああああああっ!」
いばら姫「危ない!もう、しょうがないなぁ…。」
十節-後(いばら姫)
急に立ち止まって泣きじゃくるヘンゼルに、勝機とばかりに向かってきたナイトメア。
いばら姫は眠気を堪えながら、間一髪で倒しました。
ヘンゼルは、虚ろな瞳で少しの間私を見つめてから、ぽつりと呟きました。
「さよなら、僕のグレーテル。」
私に言ったのか、本物のグレーテルに言ったのかは分からない。
けれど、下手に否定してまた泣き叫ばれたら手に負えなくなる。
そう思った姫は、笑顔でこう答えました。
「ばいばい、兄様。」
ヘンゼルはどこか悲しそうに微笑み、くるりと踵を返して去っていきました。
#シノアリス #声劇台本 #ヘンゼル #グレーテル #いばら姫
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