12日目・演目【罪の名前3】
粟田口一座 語り部/五虎退
12日目・演目【罪の名前3】
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男の子は思います。女の子はとても優しい子なのに、いつも自分を責めてしまう。あの優しい女の子を慰めてあげたい、と。そこで男の子はひらめきました。
「そうだ!ここに咲いた花を君にあげよう」
男の子は、見事な白いユリの花を、泣き疲れて眠る女の子の傍にそっと置いて去りました。
…ですが、運命の女神様は意地悪です。
「醜いあの子を見たらどんな顔するんでしょう、見ものね」
と微笑んで、目よ治れと男の子に魔法をかけました。そして、花は黒く闇のように染まります。染まった花は、不吉な黒いユリの花。女神様は重ねます。
「お前に彼から贈り物だ、 そら拾いなさい」
花を見て、男の子の目が治ったことを知った女の子は悲しみました。
「ああこれはきっと罰です。だって私が身の程知らずに恋をしたから…いっそ死んでしまえばいいのでしょう?」
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