【声劇台本】雪どけの景色

演奏【四ノ宮りゐ】× 台本【ふたば】× 芝居【 】

もう、何度目の春だろうか ---------------------------- ▼雪を踏みしめる感覚を懐かしく思うのはどうしてなのか。 ○「おはよう、今日もいい天気だよ」 ▼おはよう、そういって君は毎朝部屋のカーテンを開ける。 差し込む日差しに目を細めながら、 君はいつも窓の外に広がるとりとめのない世界の話をするのだ。 ▼「おはよう。ほんとだ。お洗濯日和だね」 ○「自分で干したこともないくせに」 ○「おはよう、昨日はよく眠れた？」 ▼「おはよう。風の音がうるさくてあんまり」 ○「だね。すごく眠そう」 ○「おはよう。すっかり暖かくなったね」 ▼「おはよう。雪がないなんて、 毎年冬の終わりは少し寂しくなるよ」 ○「そうだね。わたしも」 ○震えそうになる声をなんとか繕って返事をする。 春が、もうそこまできている。 ○「おはよう、ねえ見て、 今年も桜が咲いたよ」 ○わたしは毎朝、部屋のカーテンを開ける ▼「ねえ君は、」 ○あなたと、 ▼「”だれだっけ”」 ○とりとめのない話をするために ---------------------------- #四ノ宮りゐオリジナル #LastCry #ラスクラ企画 #溶ける #残り雪