サクラクラ病
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サクラクラ病
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あの時も、こんな寒い雨だったな...なんて笑笑
時間調整していません!笑
頑張って合わせて(´・∀・`)
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それはまるで、長い長い夢を見ているようだった。
篠突(しのつ)く雨のなか、雨男は傘もささずにあなたと二人、蕾桜の並ぶ池のほとりを歩いた。花咲く日にはまだ少し早かった。
あなたの居る町に自分が立って居ることが違和感でしかなく、僕の存在が、美しく描かれた水彩画に垂らされたポスターカラーの絵の具、そんな感覚だった。
少しひらけた屋根のある休憩所のような場所に腰をかけた。その間もあなたとの会話はほとんど無くただ降り続く雨の音だけが耳に入る。
もう僕は二度とこの場所に戻ってこない。そしてあなたともう会うことはないであろう事を何となく察していた。
気が付けば雨はすっかり上がっていた。せっかくだからと僕を駅まで送る君の背には広くオレンジ色に空が焼けていた。数少ない会話の中で夕陽の逆光に君の笑顔が見えた気がした。改札をあとにしようとする僕は「またね」と、そう言いかけた口を固く結び「バイバイ」と言い直した。振り返ることなんてできなかった。
春を待つ蕾が綻んでくれたなら、きっと僕は夢から覚めるだろう。そんな思いを胸に雨男はそっと目を閉じた。
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1commnets
- るりるんおーかーりーしましーた!