7日目・演目【歯をボロボロにされた鬼1】
粟田口一座 語り部/後藤藤四郎
7日目・演目【歯をボロボロにされた鬼1】
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「なんというか、歯がボロボロって。飯は食えない、見栄えは悪い、言葉も喋りにくい…散々なことばかりだな?俺は御免だなあ。」
よっ、後藤藤四郎だ。俺が今日話すのは「歯をボロボロにされた鬼」の話。昔話ならではのとんちが効いた話になってっからさ、楽しんでいってくれよな!
むかしむかし、ある山奥に、一匹の鬼が住んでいました。
鬼は毎日のようにふもとの村にやってきて、畑を荒らし回り、家にある食べ物を手あたりしだいに食べるのです。
「そのうちに、わしらも殺されてしまうかもしれない」
「なんとかしないと、村は全滅だ」
村の人たちはすっかり困ってしまい、畑仕事も手につきません。
そこで寺の和尚さんに相談して、鬼が来ると寺へ連れて行き、酒を飲ませて、ごちそうを食べさせることにしたのです。
おかげで畑は荒らされなくなりましたが、
今度はごちそう作りが大変です。
村人たちが交代でごちそうを作り、
酒を用意しなくていけないのです。
鬼は毎日寺へやってきて、大酒を飲み、腹いっぱいごちそうを食べたあと、本堂で大の字に寝て、ものすごいいびきをかきます。
それを見ていると、なさけないやらくやしいやら、いっそひと思いに殺してやろうとしましたが、
「まて、まて。いくら鬼とて、命あるものを殺すわけにはいかない。わしにまかせておけ」
と、和尚さんがいうので、村人たちは何とかがまんしていました。
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