ある男の供述。
語り手:あなた様
ある男の供述。
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びいどろの音が綺麗だったので、つい。
難しいと思いますが、よろしければ読んでくださると幸いです。
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「
私が彼女を殺した理由ですか?
びいどろの音が、生意気だったのです。
どこぞの男からもらったのか分からない美しい柄のうぐいすが、私を嘲(あざけ)っておりました。
彼女の髪が風で揺れるたび気に障(さわ)って仕方がなかった。
洒落(しゃれ)た髪飾りと柔らかな体から放たれる甘い香りに、嫌でも時の移ろいを感じて。
彼女の美しい瞳が酷く憎く思えたのです。
私と過ごした小さな頃の思い出など、二人で遊んだビー玉とともに棚の奥へ忘れ去られたのでしょう。
その心に、記憶に私がいない。そう思ったら……見知らぬ女が鳴らす耳障りな音に腹が立ってしまったのです。
…ええ、今は愛しております。
びいどろが割れうぐいすが飛び立ち、彼女が死んだ今ならば。
もう一度愛せる気がするのです。
罪だというなら罰してください。
腹の中に収めた彼女の骨とともに罰を受けましょう。
」
#声劇
#声劇台本
#独白
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良いこと悪いことはお国が決めてくださいませ。
幸か不幸かは私たちが決めます故。
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