ひとり部屋のバラッド
Unknown
ひとり部屋のバラッド
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※下の3名のキャプションの手紙からお読みください※
【───へ】
これを読んでるって事は、僕はやはり折れる事を選んだようだね。
手紙、見つけたのはきっと同部屋の脇差三振かな?
ふふ、当たっているかな?
それもきっと確認できないんだろうね。
柄にも無いけど僕から、君たち三振に言葉を送るよ。
【堀川国広くん】
君の作る手料理はいつも美味しくて。
食べ物の話をする君の笑顔は僕よりにっかりとしていたよ。
僕の怪談や他愛もない話を呆れず聴いてくれたり、相談にも真剣に耳を傾けてくれた。
沢山の感謝を君に送らなければならないのに、お返しが出来ない不躾な刀でごめんね。
もう君のご飯も、笑顔も見れないんだね。
寂しくてやりきれない。
いや、そんなこと言ったって仕方がないよね。
この思い出は大切に胸にしまっておくよ。
君もきっとそうしてくれるはずだ。
誰よりも前向きな、君なら。
そして、
後ろ向きがちな二人の脇差の背中を力強く押してやっておくれ。
宜しく頼むよ。
堀川くん、今までありがとう。
【鯰尾藤四郎くん】
君とは沢山の鮮やかな記憶が蘇るね。
幽霊斬りという由縁ではしゃぐことが出来なかった僕に“楽しさ”を教えてくれたのは紛れも無く君だった。
一緒にはしゃいで、一緒に怒られて。
色んな楽しさに一緒に触れさせて貰ったね。
これからも、君と、君たちと一緒に色とりどりの思い出を作っていきたかった。
いきたかったなぁ。
君の兄弟である、骨喰くん。
本当に仲が良くて羨ましかったよ。
僕の役目は果たし終えた。
彼を前へ、前へと誘う役目。
堀川くんも手を差し伸べてくれる。
二人で、彼の記憶を彩っておくれ。
君が僕に与えたように。
宜しく頼むよ。
鯰尾くん、今までありがとう。
【骨喰藤四郎くん】
君は、今、にっかり笑っていられているかな?
いつか交わした約束、君は覚えているだろうか。
“ 互い、いつ何時折れようとも
にっかり笑顔絶やさずに”
ほら、どうだい?鏡を見てご覧?
約束守ってくれているかな?
記憶にあるのは火の海と無の表情で語る君。
そんな君に僕は笑顔を浮かべて欲しかった。
最初はきっと興味本位だっただろうね、でもね、君がふと見せた笑顔がとても素敵な笑顔だったんだ。
堀川くんと、鯰尾くんと、骨喰くんと笑い合える幸せな時間を感じたあの日から、僕は、僕達は、君に、もっと沢山の記憶を君に贈りたいと願った。
深夜寝静まる頃四人で本丸を抜け出し星を観に行った。遠征先の宿で下らない話で夜を明かしたりもした。
まだ贈り足りないね。
まだまだ僕は君に笑顔を贈りたいよ。
でもできない。
僕には、もう出来ないんだ。
ほら、もう一度鏡をみてご覧。
隣にいる二振の事を愛して信じて。
前を向いておくれ、骨喰藤四郎。
目の前に広がる新しい世界に目を逸らさないで。
ほら、笑っておくれ。にっかりと。
骨喰くん、今までありがとう。
【敬愛なる僕の友人達へ】
にっかり青江より
手紙の下には皺くちゃになった白い紙。
内容は端的に記されていた。
『刀帳No.19 にっかり青江
診断結果 病名【 急性型肺結核 】
政府 ノ バグ ト 判断ス。
感染 ノ 恐レ アリ。
直チ ニ 其ノ刀 ヲ 刀解スベシ。
政府 ヨリ 命ズル。』
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