幽閉されし者。
声劇
幽閉されし者。
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根は優しいだとか。
本当の君はそんなことはしないだとか。
そんな上っ面だけの言葉を投げかけられるのも
もう、うんざり。
どうして、好きに生きちゃ行けないの?
どうして、私は自由になれないの?
そんな事ばかり考えてしまう。
この手足に繋がれた錠を引きちぎってしまえばどんなに楽か。
あの頃の無知な私を呪い殺してしまいたい。
あれから、どれだけこの地下牢に居るのか皆目見当もつかない。
この薄汚れた牢の中は、ジメジメとしていて酷く生臭い上に虫が沸く。
蛆虫が地面を這うのをみて居ると、酷く滑稽で笑い出したくなるものだけど、何故か笑えない。そんな蛆虫が私にソックリなのがどうしても受け入れられないから。
私は無言で蛆虫を踏み潰して、踏み潰して、踏み潰して……
ハッと我に帰る。
私は何をして……
頭の中で鈍い痛みがじわじわと広がっていく。
それとは逆に燃え盛るように熱かった心がどんどん冷たく、冷たく、冷え切っていく。
僅かに私に残っていた、良心もいつのまにか死んでいた。
残ったのは、ただただ純粋な悲しみだけだった。
私は、割れたガラスに無造作に手を伸ばし、
尖った先端を喉に突き刺した。
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