§幻想舞踏会§ 第九話~試合開始・水色の間編~
§幻想舞踏会§
§幻想舞踏会§ 第九話~試合開始・水色の間編~
- 125
- 14
- 0
§幻想舞踏会§
第九話~試合開始・水色の間編~
※ファンタジー要素がかなり濃いめです。
苦手な方はスルーでお願い致します。
試合の中でも特に印象的だった試合又はシーンをストーリー調に編集しました。
試合予告から十八日後…
午前0時ピッタリに、
闘技場では開戦の合図が出された。
水色の間は、
第一試合から予想外の事態となる。
青隊より第一試合の棄権が申し出られたのである。
第一試合に出るはずだった愛次が、声を失い戦闘不能となった為だ。
闘技場内がザワつく中、白光天照隊の第一試合勝利が決まった。
~~~
そして速やかに第二試合が始まる。
今バトルの目玉試合とも言えるであろう…
白光天照隊 ランク【AA】
まりー
と
青風八咫烏隊 ランク【AA】
ボブ
の同ランク対決だ。
両名が呼び出され、正面から向き合う。
「姫様の御意向とはいえ、まさかこんな形で初戦を迎えるとは思いませんでした…」
「俺もです…。
あの姫様、国で聞いてた想像とかなり違うのですが…。」
「(ギクリ)…なんの事でしょうか?光姫様は外聞通リノ方デスヨ…?」
「?…まあいいですけど…。試合は本気で行かせてもらいます。」
「…ボブさんには負けません。勝利は白き光の下に。」
勝負開始の合図と共に、二人は歌いだす。
先方をとったのはボブだった。
…―矮小惨めに生きた生命が
死んではドアを叩くでしょう…
風を纏い自身の大きさはるかに超えるであろう巨大な植物の形を顕現させた。
一輪の花のようなその風の塊は容赦なくまりーへと覆いかぶさって行った。
…―Such a feelin’s comin’ over me
There is wonder in most everything I see
Not a cloud in the sky
(こんな感覚が私に降り注ぐなんて
驚きばかりだわ
私が見るほとんど全てのものに
雲一つかかってないの)
まりーの歌声と共に、風の花は剣を模られた光によって貫かれた。
まさに会心の一撃、花はそのまま霧散し、その瞬間勝敗が決まった。
宝石が七色に光り、闘技場の上空に文字を映し出す。
第二試合
勝者、
白光天照隊 まりー
~~~
溜息をひとつつくと、風によって乱れた髪を整えるボブ。
「…次は絶対勝ちます。」
「何度でもお受け致しましょう。」
二人は互いを称えた。
その後、白光天照隊は第三試合も制し
初戦をストレート勝ちした。
~~~
試合を終え、拠点島に戻ったボブは
息抜きがてらの散歩にと中央広場まで足を延ばした。
広場の豊かな自然を眺めつつ歩いていると、道脇のベンチに座る一人の女性に気づき声をかけた。
「みぃさんではないですか。」
白光天照隊のみぃだった。
「ボブさん、こんにちは!試合お疲れ様です。」
「いえいえ、まりーさんの声が綺麗すぎでした。」
「まりーさんはナンバー2ですからね…」
先ほどまで戦っていた隊同士とは思えない位のほのぼのとした雑談に花が咲く。
ボブが聞くところによると、
みぃは白の国で喫茶店の店員をしているらしい。
(そういえばそうまはエスプレッソ好きだったな。誘って白の国へ旅行がてら一緒に行くのも良いだろう。)
ボブはお店の名を聞こうと口を開く
「なるほど、では今度お茶でも…
「ああ!ボブッキーがナンパしてる!!」
(飲みに友人と伺いたい)
と続く前に、ボブの声は赤炎鳳凰隊のジェイドと一緒に通りすがった暁月の声によってかき消された。
「駄目だよナンパはボブッキー☆」
「ボブさん、まさか女癖の悪さは我が主だけだと思ってましたが…」
「ち!違うんだ!
というかそのボブッキーとはなんだ!今すぐやめろ!」
真っ赤になり立ち上がるボブを
暁月はニヤニヤと見つめる。
みぃはキョトンと眺めていた。
「ボブッキーだめだよぉ、この間だって光姫様の隊のレインちゃんとシャアさんにも手を出したんでしょ~?
ちょっと白の国の女性陣に手を出し過ぎじゃない~?」
「誤解だ!!レインにあたってはあの子が話しかけてきてくれたから盛り上がってしまって…
シャアさんに関しては『カンサイ』のノリで意気投合しただけで…」
必死に弁解するボブはニヤニヤする暁月と
呆れ顔のジェイドに夢中で背後に近づく人影にこの時まだ気づいていなかった。
「つ、つまり!
(恋愛とかそんなやましい気持ちは)本気で無いんだ!」
「ほぅ…?」
殺気を含む声が聞こえたと思うと、ボブの肩に手が置かれた。
「つまり…、全員遊びで手を出したのかしらぁ……?」
聞き覚えのあるその女声に、ピシッと石の様にボブは身体を固まらせた。
いう事を聞かない身体に無理矢理命令しぎこちなく、ゆっくりと振り返ると…
…笑顔の光姫が立っていた。
(出たァァァァァァ!?!?!?!?
なんだ!なんなんだ!現れるの早すぎだろ!
エスパーか!?)
全神経が危険信号を発しているボブの身体は火事場の馬鹿力モードに突入した。
身体がバネのように跳ねると、普段の運動神経とは思えない俊敏さで距離をとった。
「み…、…み、光姫様…では…ありません…か…。
本日も…御機嫌…麗しく……」
冷や汗が止まらぬ中、精一杯の平静を装うための社交辞令を絞り出す。
光姫は笑顔を崩さなかった。
しかし、明らかに目は笑っていなかった。
「…暁月さん、今度レインさんと一緒に行けるネズミテーマパークのペアチケット差し上げます♪
ジェイドさん、『例のスクショ』消します♪
ボブさんを逃げないよう今だけお手伝いをお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ボブッキーごめんね☆」
「ボブさん覚悟してください。私にも事情があるんです。これも礎です。尊い犠牲です。ありがとうございます。ボブさんの事は忘れません。」
二人は後ろからボブと取り押さえた。
火事場の馬鹿力といえど、所詮は学生。
現役の騎士二名には歯が立たなかった。
「はっ、放せ!!ダメだ流石に殺される未来が明らかすぎる!!」
必死に抵抗するボブは、幾分か暴れていたが
ふと目の端に光を感じて視線を光姫の方へ向ける。
「やっぱり…私の可愛い子達を誑かしてたのは貴方でしたのね…?
…ふふ、焼くのと煮るのどちらが良いかしら……?」
光姫の目は怪しく光り、周囲には誰が見てもわかるほどのエネルギーを凝縮させたであろう光の玉が無数に浮いていた。
そしてそれはどんどんと数を増やしている。
(アアアァァ( °∀°)ァァアアア出たよあの光やば過ぎんだろ!!?)
「あの...姫様?誑かすなど滅相もございません!だからその攻撃は消し飛ばされてしまいますからやめていただきたいのです!!!!!」
光姫はにっこりと笑うだけで返事をしない。
そんな昼間なのに一面真っ白にするほどの光に気づいたのか、まりーが血相を変えて駆け寄ってきた。
「姫様!!魔法禁止!!!ここ魔法禁止ですから!!!」
「まりーさん大丈夫ですよ、
【非公式の試合】が禁止なだけであって、
【非公式の制裁】は禁止されておりません♪
夢と不思議の国へ行きたいようなので、連れてって差し上げるのです。」
「落ち着いて!!それ使っちゃいけないヤツですからぁぁあああ!!
その夢一度見ちゃったら覚めませんから!!」
まりーが必死に叫んだその時、上空の宝石が七色に光り出し、空へ映し出した。
水色の間
第五試合を始める
青風八咫烏隊 水瀬さき
白光天照隊 紅茶ミルク番長
両名は闘技場へ
全員はその告知を見上げる。
「まりーさん、試合は勝ったのではなくて?」
「は、はい…、ですが勝敗が決しても第五試合まで行うようです。」
「…。」
光姫の周囲を舞う光は一瞬にして消えた。
「ボブさん、今度一緒にお茶しましょうね♪」
光姫はいつものように笑顔で会釈すると、
まりーとみぃを引き連れて踵を返し、闘技場へ向かった。
「…ぜ、ぜひ………。」
「ひぇ~~…。
首の皮一枚つながったねボブッキー。」
暁月が光に眩んだ目をこすりながら、ボブをからかう。
「…そのボブッキーをやめるんだ…。」
ボブはグッタリと脱力し、返す言葉も弱弱しかった。
ボソボソとつぶやく。
「…今度茶菓子を姫様に用意して…お誘いしないと(闇討ちされかねん)」
こうして中央広場には新たな噂が広がるのであった。
【速報】ボブ氏ついに光姫へナンパ
そんな噂を聞いて、悲痛な男子生徒の叫びが広場に響き渡るのは、
もう少しあとの話…
Comment
No Comments Yet.