【声劇台本】生きて帰って

演者様のお名前

長年の戦の末いまや戦場に出られる人間などおらず、 代わりに戦闘人形(からくり)が戦をするようになった 。 人間を超えた技巧をもつ消耗品に大喜びするも、 戦争はますます激化の一途を辿り もはや 勝てる見込みもなくなった。 国一番の人形師、周(ｱﾏﾈ)の工房にて。 歯車を鳴らしながら、出兵するからくりが１体。 銘は 式ノ 零(ぜろ) 周曰く最高傑作といわれるその人形、 てんでばらばらな材料を寄せ集めて継がれたようで おおよそ戦など向いていないようにみえる。 ……………… 〇「…本当に、どうしても行くの？」 ●「まさか、止めてくれるなヨ？」 〇「今も引き止めているつもりなんだけど」 ●「あァ、それはそれは。僕ったら鈍いからサ」 〇「最低だね、お前」 ●「人の心が分かんねェもんで」 〇「はぁ？」 ●「機械だから分かんねェんですヨ。なァんて、」 〇「……」 ●「嘘だ、悪かった。遅かれ早かれ死ぬ運命、アンタがいなかったらぼかぁ今ここにいないサ。 …なァ泣くなよ、どうしたら泣き止んでくれる？」 〇「行くなったら」 ●「…それァ出来ねーなぁ、主よォ。」 〇「主じゃない…っアンタは、」 ●「ハイハイ、ありがとな。」 ●「ぼかぁ必ず勝って帰ってくる。 まァそもそも僕が壊れるわけねェんだ。 すちぃるの足、腕は、うりん…だったかい？武具は玉鋼に銀まで頂いて。愛されてんなァ！」 〇「零…」 ●「おまけに生への執念は人一倍さ。アンタはどうやら泣き顔しか見せてくんねぇからな。」 ●「必ず『生きて帰って』笑わせてやるサ。 だから待ってな、アマネ」 〇「…絶対帰っておいで、レイ」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 〇周(ｱﾏﾈ) 人形師の少女。 両親を戦で亡くし、以来ずっと1人で人形を作っている。 勝気で頑固だが、年若くも腕は確か。 主と人形の関係ではなく、対等でいたいと思っている。 ●零(ぜろ/ﾚｲ) 周の作った戦闘人形…？ 身体の八割がからくりだが、実は生身の人間。 戦争に巻き込まれ瀕死だったところを周に助けられた。 本名はレイ。 こねた 実は零の身体は寄せ集めなんかじゃなくて、 彼が生きやすいように周が考えて揃えたパーツです。 人間でありながら戦闘人形としての性能をもつ零を 国から守るために「寄せ集めのゼロ」と 落第品扱いしていたのですが、 いよいよ戦闘人形が足りなくなって零に出兵令が出て…… という設定があったりなかったり。 悲しい別れを書きたいなぁと思っていたのですが、 素敵なBGMに出会ってぼわわわっと一気に出来ました。 #台本 #声劇台本 #掛け合い #和風 #卯木の台本 #四ノ宮りゐオリジナル