『この醜い翼でも…』フリー 台本
つじあやの
『この醜い翼でも…』フリー 台本
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暖かい日差しが差し込む
でも少女にはそれがわからない、しらない、知りたくもなかった
外では仲間がゆらゆらひらひら飛んでいた
優雅に風に乗り、ゆっくりまるを描いてはひらりひらりと飛んでいく
そう、彼女らには翼が生えていた
普通の人間ではない、そもそも人間ではないのだ。彼女達は
その中で、少女だけが金色だった
両親も、産んでくれたときは喜んでいたかもしれない
でも彼女はひとりぼっちだ
「「ねぇ、あの子の翼見た?金色だよ?」」
「「ゴージャスだからって私たちを見落としてるよねぇ((クスクス」」
怖かった
はじめはこの翼が好きだった
飛ぶと、キラキラと光りだした
でもいつしか憎たらしくなった
何千といる。仲間の中で、彼女だけが金色
これは神様からの天罰か、来る日も来る日も罵声や暴力を浴びせられた
一度だけ、翼をもぎ取られそうになった
醜くて憎たらしい翼だけど、これがないともう飛べない
いつからか彼女は外には出ようとはしなくなった
仲間達もそんな彼女に声をかけようともしなかった
それでも、彼女が生きようとしているのは
ひとつの望みのためだった
前に、本当にずいぶん前
群れを離れて民家の近くまでいったことがあった
ほんの出来心だ
そして、捕まった。
人間が何を話しているのかわからない
だからって助けも呼べない
その時だった
「大丈夫かい?」
不意に声がして振り向いた、何をいったかはわからなかったけど
若かった
人間の平均年齢などわからないが
そっと私を飛び込めている虫かごの扉をあけた
怖くて立てない私を手のひらにのせて窓へむかう
怖くはなかった、不思議と
太陽の、お日様のにおいが彼からした
はじめて触れる人のぬくもりに、大粒の涙を流した
窓のふちに腰をかけると、
ゆっくり私を撫でた
「早くいった方がいい、両親が明日キミを外国へつれていこうとしているらしい。珍しいからといってね。」
「さあ、行きな。仲間がきっと待っている」
嫌だ
仲間なんて待っていないの
いつも私はひとりぼっちだから、貴方と一緒にいたい
どんなに叫んでも、わめいても
貴方には伝わらないのだ。このきもち
それでも、彼の忠告を無視はできなかった
きっと自分の立場を捨ててでも私を助けてくれたのだから
もう力は残っていないはずなのに、自然とふわりと体が浮いた
まっすぐと彼を見た
「きれいだよ、キミは」
きれい
はじめてそういわれた気がした
その後のことは、あまり覚えていない
たが、あの青年の顔だけはしっかりと覚えていた
いつか、隣を歩ける日が来るだろうか
この醜い翼を精一杯輝かせて
キミと歩む日を
迎えられるだろうか
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かやです。
はじめて台本?というものを作りました
長かった…意外と。
そして相変わらずセンスなし(´ρ`)
#猫の恩返し #風になる
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