貴方だけ…①
小説家志望してみたり
貴方だけ…①
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episode①
ねぇ、覚えてる?
私たちここで出会ったんだよね。
この大きな桜の木の下で…
☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆*☆
「あっ!! ごめんなさい!」
私は向こうから来た人と正面からぶつかってしまった。20分後の会議のことで頭がいっぱいだったので、周囲への注意力が劣っていたようだ。
「大丈夫?」
「ありがとうございます!」
「怪我は?」
「してないです。」
「良かった!」
「あ、貴方は?」
「あぁ、俺?彩霧裕翔って言います。」
「そうじゃなくて、怪我してませんか?」
「あ、そっちね。うん。」
「丁度木の根が盛り上がってるところだったけど、本当に何処も打ってないですか?」
「あぁ、まぁ大丈夫。これくらい。」
彼の腕には大きな黒い痣があった。
「病院に行きましょう。というか、行ってください。私も行きますから。」
「でも、君にはこれがあるんじゃないのかい?」
彼は、私にこれから待ち受けている会議の資料を指差した。
「ですが、人命の方が!」
「この程度の痣なら大丈夫だって!」
「ですが!」
「じゃあ、代わりに今度どっかでお茶してくれない?ね?」
「わかりました。では連絡先を教えて下さい。私の番号はこれです。」
私は、自分の携帯電話の番号と職場の番号を書いた紙を渡した。
「おぅ、ありがと。俺はこれ。」
「ありがとうございます。では今日仕事が終わり次第、連絡させていただきます。」
「了解!」
「本当にすみませんでした。では。」
私は会釈をしてその場を去った。
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