CM風声劇「とある文学少年の一説」
文学少年:【染井めそ】コダマ:【sya-yu】
CM風声劇「とある文学少年の一説」
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コラボさせてもらいました。
早口むずい……
何故人は価値を付けたがる
かく言う私もそのうちの一人だが
恋のひとつでもすればこの無骨な鉢植えに
一輪の惚けた花を咲かすことも容易いであろう。
(鈴の音)
コダマ:「またまたあ、価値を付け付けられることに
快感を憶えるよう仕組まれた染色体に嘘は付けません。
これは人の運命なのです。
お兄さんも素直になったらどうですかあ?」
文学少年:「人の真似事ばかりして性の悪い
目と耳ばかり肥えて
脳の髄はすっからかんではないか」
コダマ:「私は元々中味なんてありませんから
生まれに託(かこつ)けて
さも同然のような物言いをしているだけなんです
生きる知恵ですよ。
無い中身を探り出すなんて取らぬ狸の皮算用ですねえ
にゃはは」
文学少年:「お前もあと八度生まれ直せば
もう少しマシになろう」
コダマ:「…。それでは今日はもうお暇(いとま)します
本日も良い日をお過ごしくださいね、ではどろん」
(水の音)
文学少年:響かずの池に鯉の咀嚼(そしゃく)音がこだまする。
いつかはこいつも消えてしまうのだろうか
今から百年の時を超えてもその痕跡は残るのか
はたまたこの金木犀のように
(無音)
毎年同じ香りの花を咲かせるのか
(音入り)
文学少年:ええい黙れ黙れ、
私はそんな御託(ごたく)を並べたい訳ではないのだ
「ああ、今朝見た猫はとても美しかった」
それだけで良いのだ。
私は人に頼らぬ
嘯(うそぶ)く感情等灯油をばら撒いて
住処(すみか)諸共燃やしてくれるわ!
文学少年:私に教えてやる
「人とは幸福なものなのだ」と
文学少年:ほっといてくれ、
誤植があろうと直せやしないのだ。
それでもこれは素晴らしくも浅はかな私の物語なのだ。
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