物語『“それ”はとても醜い姿をしていた。』
BGM:みわたか 台本:雨之寂
物語『“それ”はとても醜い姿をしていた。』
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#みわたか #雨之寂
#声劇 #シナリオ #物語 #台本 #掛け合い
使用BGM“ただ貴方の頰をなぞりたかっただけ”
https://nana-music.com/sounds/031fb3cc/
もしよろしければ、あなたの声でこの物語を聞かせてください… #コラボ募集 #コラボ待ち
“それ”はとても醜い姿をしていた。
目を開けば付き刺さるような眼差しを、口を開けば切り裂くような言葉を、“それ”は息をするように流し出す。
ふと、“それ”は何処か遠いところを眺めながら、私には見えないその何かを哀れむように、目を細めた。
そして肩を落とし、がっくりと項垂れると、黒く錆びついた鎖が擦れ合い、耳に痛い音が響き、その中には“それ”のおもい溜息も混ざっていた。
髪の間から覗く“それ”の白い歯が、三日月のようにニヤリと笑う。
しかし、その口元とは反対に、“それ”の目では悲しげな瞳が揺らめいていた。
私は“それ”に手をかざすが、伸びることのできない腕に、申し訳なさそうに指も折れる。
“それ”はとても醜い姿をしていた。
触れてしまったら、“それ”に呑まれ、戻れなくなってしまうと思うほどに、“それ”は深く、暗い………
“それ”は、私には、とても醜い姿に見えた…
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