【朗読台本】時を生きる人
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【朗読台本】時を生きる人
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「その酒は、少し苦かった。」
つらつらと本を朗読していくように読むといいと思います。
「その人」は老化と若返りを繰り返す人。
素敵な伴奏はGuardianさんから
ーーー台本ーーー
その人は、初めて出会った時にはもう既に大人だった。
艶やかな黒髪に、少し色っぽい泣きぼくろ。
まだ幼かった自分でも分かった。
とても綺麗な人だ、って。
今思えば、きっとこれが初恋だったんだろう。
少し時が流れた。
でも、その人は歳をとるどころか、どんどん若返っているように見えた。
お酒が飲める年になって、一番にその人の家を訪れた。
広くて、一人で暮らすにはあまりにも寂しいその空間は、自分が幼い頃から何も変わらない。
変わっているとしたら、若返り続ける家の主だけであろう。
静かに2人で酒を酌み交わし、その人は口を開いた。
「お酒を一緒に飲めるのは、今だけなのよ(なんだ)」
その人は静かにそう言った。
若返り続ける体のことを言っているのは明らかだった。
「それじゃあ、明日からは紅茶にしよう」
別に机の上に置かれるものなんて、なんだっていいのだ。
この人と同じ時を過ごせるのなら、それでいいのだから。
#朗読 #朗読台本 #台本
Comment
2commnets
- くらげ∞
- Guardian&N Japanとても面白い話しですね。海月さんのセンスの良さを感じます✨😊