【朗読台本】「死にたい」と。

台本:壬音 声:

私が、あの人に、してあげたかったこと。 私が、あの人に、してあげられなかったこと。 台本の下に少し思うことを書いています。 このお話は公開するか迷いました。 ですが、自分に言い聞かせるためにも公開します。 デリケートな問題なので色々とご意見があるかと思いますが、 私はこのことについて、こんな風に考えています。 台本は、少し間を取りつつ読むと綺麗にまとまるかと思います。 ですが、ご自分の心地良いように読んで頂けると嬉しいです。 一・三人称変更、言い回しの変更などもご自由に。 苦しみに耐える人が、今よりほんの少しでも、楽になれますように。 ****** その人は「死にたい」と呟いた。 晴れた日の午後だった。 思い詰めた目で膝を見つめながら、 小さく小さく呟いた。 その言葉を言うまでに、 どれほどの痛みに耐えたのだろう。 その瞳になるまでに、 どれほどの辛さに耐えたのだろう。 「苦しいね」と私は呟いた。 悲しいくらいに晴れた空。 その青さもその人には ぼやけて見えるのだろう。 生き地獄において、色は褪(あ)せていく。 命を断つことにしか、 救いを見い出せないこともある。 その人がやっと口にした 「死にたい」という言葉。 それはただの意思表示ではなく、 痛みや苦しみに耐えかねる悲鳴なのだ。 生きて欲しいと願うのは、 周囲のエゴでしかない。 それでも、私は身勝手な人間だから。 「苦しいね」と私は手を握る。 背中に手を添えて、黙ったまま。 ただ寄り添うことで、 ほんの僅(わず)かでも、 心の痛みが和らぐように。 ****** 「死にたい」と口にする人を疎む人は少なからず居ます。 確かに周囲の注目を得たいがためだけに、 死ぬ死ぬ詐欺をする構ってちゃんも居ますからね、 ある程度は仕方の無いことなのかも知れません。 でも、本当に本当に辛い思いをしている人の呟くその言葉は、 思わず漏らしてしまう悲鳴や呻きのようなもの。 頭ごなしに否定せずに受け入れてあげて欲しいのです。 本人だって初めから死にたかったわけじゃない。 そこまで思い詰めるまでに至る、想像出来ないほどの痛みがそこにあるのです。 それでも、大切な人には笑っていて欲しいというエゴは、持ってしまうけれど。 みおとのお話一覧 https://nana-music.com/playlists/1650630/ https://nana-music.com/playlists/1869568/ https://nana-music.com/playlists/3874906/ #台本 #朗読 #朗読台本 #一人声劇 #一人声劇台本 #声劇台本 #ひとり声劇 #優しい #悲しい #辛い #死 #自殺 #音楽 #壬音のお話 #青オリジナル