【朗読台本】心酔都市
じょん / 四 × コラボ者様
【朗読台本】心酔都市
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#朗読 #朗読台本 #声劇 #声劇台本 #1人用台本 #1人用
ルの屋上に手をついて、空を見上げる。
足の裏に固いコンクリートの感触を感じながら、思い切り壁を蹴りつけた。
重力を忘れたような浮遊感と、乱れる髪。
ここは、水に沈んだ都市だ。
僕らは選ばれた。僕らは取り残された。
僕らは、面白半分に人魚だなんて呼ばれる病。
海に選ばれ、人に取り残された人類。
水の中でも生きられる病。
「母さんと妹は、避難しちゃった」
仲良しの女の子は、そう言った。
水の中でも生きられるようになった彼女を置いて、家族は遠くの国へ移ったのだ。
僕らは、化け物だろうか。
彼らは、薄情だろうか。
この病は、祝福なのだろうか。
それとも、呪いなのだろうか。
どちらでもいい。
偉い学者の論文も、今では水の中でぐちゃぐちゃに溶けているのだから。
一一一一一一一一一一一
出来ればシリーズで書きたいなぁなんて。
水の中で生きられるようになった人類は、第2の人類として扱われた。
嘲る者も、恐れる者もいた。
やがて国は大きな決断をする。長い時をかけて沈みゆくだろうと予測される国を、第2の人類と共に捨て行くのだ。
彼らは、人であるのに。
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