【声劇・朗読】ほっとみるく【台本】
声【】
【声劇・朗読】ほっとみるく【台本】
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#えとのお話
「おかえり」
彼女が帰ってきた。
体に色んな匂いを纏(まと)わせて
ソファに座ると手で顔を覆(おお)い、
堰(せき)が切れたように泣き始めた。
「生きるってとっても痛い」
僕は彼女に何も聞かない。
彼女も僕に何も言わない。
これは彼女の"独り言"
ただ少しだけ、
僕は彼女の涙に共感をしたから
お疲れ様と、ホットミルクを机に置いた。
"必要以上に他人の悲しみを
埋めようとしない、背負おうとしない"
それがこの家で暮らす、僕と彼女のルール
僕と彼女はあまりにも"不器用"だった。
愛する事、愛される事、
なにひとつ分からないまま
ただひたすらに生きて、生きてきた。
ひとしきり泣いた彼女は
疲れたようでソファに横になった。
「今日も生きたよね、私」
僕は彼女の問いかけに答えず、
"もうおやすみ"と彼女に毛布をかけた。
彼女は何かに謝りながら
やがて眠りへと落ちていく。
彼女が眠ったのを見届けた後、
手付かずのホットミルクを
どうしようかと悩んで結局捨てた。
- 傷つきながら、傷つけながら、
不器用な僕達はそれでも生きていく -
不思議な関係性ですね…!
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1commnets
- antaiいえ!こちらこそありがとうございました!!