【台本】Selfish

台本：グリリ 読み手：

今書いてる話をごっそりコンパクトにして。 自殺がテーマやけど、重くならないように書くという試み。 まっすぐなわがままの方が、心に届く事もあるんじゃないかって話。 使用の際の拍手、コメントは特に必要ございませんのでご自由にどうぞです。 以下台本↓ 休日。 いつもの会社のビルの屋上から真下を眺めた。 十分な高さだ。 絶望もないが希望もない。 ならばいっそ。理由はそれだけだった。 ーーよし。 そう思った時、 「先輩、何してんですか？」 そこにいたのは、不器用な私と違って羨ましいぐらい器用に人生を生きている後輩だった。 「先輩、死にに来たんですか」 表情もノリも軽いのに、さらっと彼は口にする。 頷いて見せると、 「そっすか」 と言いながら私の横に並んだ。 「先輩がそうしたいなら、止めませんよ」 人が死ぬってのにこいつは相変わらずだ。 「でも１個、自分の為に言っていいですか？」 彼の言葉を待つ。 「死なないでくださいよ」 あまりに真逆な言葉に私は思わず笑った。 「先輩いないと、楽しくないんで」 それはきっとほんとに、自分の為だけの言葉なんだろう。 「分かった」 私はなんだか馬鹿らしくなった。 こいつと喋れなくなるのは、私も嫌だな。素直にそう思った。 だから、死ぬのはやめた。 「じゃあまた」 「はい、また」 そんな何気ない言葉を、初めて嬉しく思った。 2作目投稿しました↓ https://nana-music.com/sounds/04f7ddfb #BGM #日常 #ゆったり