一人声劇台本『ナナシの男』
朗読者 名前
一人声劇台本『ナナシの男』
- 47
- 1
- 0
刀を帯刀した危なげな雰囲気を醸し出す男は、今宵幾度となく零したため息をもう一度吐くのであった。
↓台本↓
俺の名前は何なのか。
気づいた時にはもう遅かった。
巷を騒がせる名を喰らう化け物がまさか俺を狙うとは。
親から授かる大事な名前。
一生付き合う事になるであろう、
自らを示す一つの指標が失われたのだ。
さらに運が悪い事に、俺はつい先日天涯孤独になったばかりだったのだ。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことではなかろうか?
唯一俺の名を知る親は灰に帰り。
当たり前だが、血を分けた兄弟もいない。
そもそもの話、親しい人間に聞けばいいのだろうが、生憎と俺は堅気の人間じゃねぇ
はぁ……憂鬱と怒りでどうにかなっちまいそうだ。
俺はそう言いながら、既に事切れている名を喰らう化け物に唾を吐いた。
#声劇 #台本 #声劇台本
Comment
No Comments Yet.