夜明けと蛍

ナブナ様

『あなたはもう、そこにはいない』 熱中症で倒れておりました、いふです 暑さが厳しい季節となりました 此方は春の夜が一番好きです、月に照らされて白く浮かび上がる桜程美しいものはないと思っています でも、夏の暮れも捨て難い 寂れた神社でひっそりと行われる夏祭りには、別の世界とこの世を繋ぐかのような妖しさがあります 廃れた駅から遠くの夜空に咲く大輪の華を見るときは、思わず見惚れて息をすることすら忘れてしまったり気付いたら涙が頬を伝っていたなんてこともありました そんなとき、いつも死について考えてしまうのは此方の悪い癖です 昨日みた夢の話をさせて下さい 唐突な話ではありますが、お付き合い下さると嬉しいです 空を飛んでいたのです、ですがその空には天井がありました 下には雲が広がっていて、私は顔も知らない方と3人ほどで雲にぶつからないように、天井にぶつからないように飛んでいました と、そのとき突然息が苦しくなってきたのです 此方は息ができないまま、旋回しながら雲の中をどんどん堕ちていきました …そこで、目が覚めたのです 目が覚めた時、暫く動けませんでした 心臓は速く速く動いていました 息が、上手くできませんでした 今になってぼんやりと思いますが、きっとあの時此方は死に向かっていたのかもしれません ですが、神様は此方を生かした 此方にはまだ、やるべきことがあるから それは何かは明確には分かりません けれど、死にたいと思っている方がいるなら隣に座ってお話を聞きたい 苦しいこと、つらいこと、悔しいこと 全部全部、吐き出して欲しい 此方は聴いて下さる方がいる限り、助けを求めてらっしゃる方がいる限り、必ず生き続けます 月が綺麗だね、そういったあなたはもういない 遠くに行ってしまったのだから もう此方が行けないところに 目の前が滲んでしまって、星は街灯のようにぼんやりとしか見えない 歩いてきた道すら見えない暗闇の中 浅いところにある星屑は手が届くのに、あなたは闇の奥の奥に眠っているようで どうしたら、笑う貴方と逢えますか どうしたら、笑う此方を見つけられますか