君と僕とあの日の幽霊 (週刊acorn文庫)
ゆーま
君と僕とあの日の幽霊 (週刊acorn文庫)
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2.雨の日の交差点
今日は今年で一番激しい雨なんだそうだ。
1ヶ月経って、関係無い人はもう忘れてるんだろうな。
ここで、この交差点で、人が死んだことを。
あの少女はいないのか?何が目的だったんだ?
なんで柚だけなんだよ…
いや、少し待てよ…なんで今まで気がつかなかった?
あの少女が柚を殺したってことは、誰も乗ってない車を操ったってことだよな。なら、どうやって?
既存の方法じゃ、ましてやあの少女じゃ不可能だ。
唯一考えられる可能性は…この交差点で事故死した少女が恨みを晴らすために八つ当たり?
あり得ない。
絶対あっちゃいけない。
なぜ今更気づいたんだ?あの状況で殺したなんて、無理じゃないか。
やっぱりほんとに事故死だったのか?
じゃあなぜあの少女はこっちに笑いかけてきたんだ?
しかも、不気味な笑いかたで。
何も、説明が出来ない。
「どういうことだ?」
「…やっと気づいたんだね。」
「!?」
後ろか!?いな…い?
今の声は誰だ?
やっと気づいたんだねってことは…あの少女か?
もう何が何だか訳わかんねぇ…
「?」
誰かが俺を見てる気がする…
どこだ?上か?
ビルの上に…いたとしても視線を感じるわけないか…
「!?」
いや、いる。あの時と同じだ…笑ってる。
俺は見つけた瞬間考える前に走ってた。
「はぁ…はぁ…」
まだいるか?
い…ない?
「後ろだよ。」
「うわっ!?」
「初めましてかな。」
「お前は何者なんだ?何がしたいんだ?」
「一気に質問しないでよ…何者かはまだ答えるべきじゃ無いね。答えられるとしたら幽霊ってことだけかな?」
「幽霊なんているはずがないだろ?こうやって普通に喋ってるじゃないか。」
「理論上0%・100%は存在する。けど実際はどう?完璧な人間はいるの?完璧な悪人はいるの?じゃあ、幽霊は絶対あり得ないって証明出来るの?」
「そ、それは…」
「証明出来ないよね。」
「な、なあ、なんで柚を殺したんだ?」
「追い詰められたから話を切り替えた…悪くない選択だと思うよ?」
「なんで殺したか答えろよ。」
「逆になんで私が殺したと思ったの?」
「柚が…轢かれたあと…お前が俺に笑いかけてきたから。」
「人の不幸が自分の幸せに感じる性格だとしたら?」
「それなら隠れてこそこそ笑ってりゃいいだろ。堂々とあそこで笑う必要はない。」
「確かにね。でもなんであなたは彼女をただ見てるだけだったの?」
「それは…」
「怖かったから?」
「…」
「図星なんだね。」
クソッ…なんだよこいつ…
「うーんそろそろ時間が来ちゃった。バイバイ。次会うときは…多分楽しい事になってるよ♪」
「おいちょ待てよ!!」
消え…た?ほんとに幽霊なのか?
幽霊かどうかはどうでもいい。
それより今は少し整理しなきゃ。
最後に言った、次会うときは…多分楽しい事になってるよって言うのは…もう1回会うことを示していて、なおかつ今日とは違う状況になってる可能性が高いってこと。どうなるんだ?あいつが思う楽しい事…人殺し?
まさかな…人殺しなんてそう簡単に出来るはずない…
そして俺を殺すつもりならお喋りなんかせずにもう殺してたはずだ。
次はどこで会うつもりなんだ?
「なあ柚どうおも…そっか…もういないんだっけ…」
いっつも俺は柚に頼ってたんだな…わからなくなるとすぐ頼って…柚に…迷惑ばっかかけてたんだな。しかも…最後…何もしてやれなかった…
「そんなことないよ。」
「え!?柚!?」
「戻って来ちゃった♪」
「お前…なんで戻ってきたんだよ…」
「悠泣かないでよ!?」
「泣いてねぇよ。」
「泣いてるじゃん!!それよりまだ私幽霊だからね?」
「幽霊ってほんとに存在するんだな。」
ん?今柚の言った事になんか違和感が…
「柚。さっき言った事もう一回言ってくれ。」
「え?泣いてるじゃん!!って?」
「違う。そのあとだよ。」
「からかっただけだよー。それよりまだ私幽霊だからねって言ったんだよ?」
違和感の正体はなんだ?そういうことか!!
「まだってどういうことだ?」
「やっぱり気づいてくれたね。」
「なんだ?どういうことなんだよ。」
「1回ねあの世に逝ったの。そしたらまだ死ぬ運命じゃないって追い返されちゃった♪」
「それって…ヤバくないか?だってもう体は…」
「確かに体は無いよ。だけど何か方法があるから追い返したんでしょ?」
「あ、そっか。」
「それに鍵はあの子が持ってると思うの。」
「じゃあ俺はどうすればいい?」
「さっき頼ってばっかなんだなって思ってたくせにまた頼って!!」
「あ、ごめん…」
「まあそれが悠らしいんだけど。」
「わかった。できるとこまでは自分で考えてみる。詰まったら助けてくれな?」
「なんかたくましくなったね。」
「そうか?」
「うん。男らしくなったよ。」
「そうか。」
「悠」
「どうした柚?」
「ずっと側にいてもいい?」
「ああ、いいよ。」
「やったね!!それよりほら早く考えて!!」
「ああわかってるよ。」
まずは何から調べるべきだ?
今わかってる事は、あの少女は幽霊で柚を何らかの方法で殺した。そして柚を復活させるための鍵でもある可能性が高い。遠からずまた会わなきゃならない。これぐらいか?
幽霊なんだとしたらこの交差点で死んだ10~12歳ぐらいの子を調べてみるか。
「大体考えはまとまった。帰るぞ柚。」
「なんか悠の家に帰るって言われるのって新鮮だね♪」
「復活したら経験出来ないからな。今のうちしか出来ないぞ?」
「うん!!」
#君僕シリーズFirstSeason #週刊acorn文庫 #nana民と繋がりたい #フォロー返します #小説
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- sHivam
- ゆーま
- sHivam
- ゆーま
- sHivam非常に素晴らしい