【朗読台本】「街灯」【コラボ用声劇】
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【朗読台本】「街灯」【コラボ用声劇】
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どうぞ、よしなに。
以下、言の葉です。
随分と厭(いや)な夢を見た。
それは妙に深く、妙に長い夢だった。
朝、不安定な感情を乗せたまま目が覚める。
あまりの後味の悪さに無意識に歪(ゆが)んだ表情と心を鎮めるように、溜息を一度吐(つ)き、私は前へと進み出す。
古びた小路(こうじ)をひとり行く。ただひたすらに、ただ浪々(ろうろう)と。
と、ふと立ち止まる。
行き慣れたこの路(みち)が急に真新しく見えたのだ。当然である事の不思議さ。それは熟考(じゅっこう)すべき物事であったと気が付いて、心地が良い。
煌々(こうこう)と光っている街灯と朝焼けの空を仰ぎ見ながら、歩みを進める。行き交う人々は皆忙しなく、そうして何処か淡白だ。
私は歩く。この街を。
此処は、琥珀色の街。
記憶の片隅に眠っている思い出のような、儚い香りの残る街。
此処は、琥珀色の街。
忘れていたいつかのあの日を、遡ることが出来る街。
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