【声劇台本】饒舌な死神

貴方のお名前:尚

難しかった(笑)上手く出来てるのかな？ 聞き取れなかったらいけないので言っているセリフを書いておきますね(笑) 死のうとしているんですか？ あぁ、驚かせてしまったのならごめんなさい。いやぁ申し訳ない、申し訳ない。 え？誰かって？ 名乗るほどのものじゃありませんよ、アレです、いわゆる“通行人A”ってところです。お気になさらず。あれ、“通行人A”は出番が多いのでしょうか？なら私は“通行人Z”くらいで良いです。 何でこんなところに居るかって？ たまたま通りかかったんですよ、偶々。 そんなの気にするなんて、貴方はさしずめＡ型なんですかね。 何で其れを聞こうとしたのか？ 好奇心ですよ、単なる好奇心。 好奇心ゆえの行動ってやつですよ。 あぁ、答えたくないなら答えなくても大丈夫です。まぁ、私は知りたいのですがね。 何で死のうとしてるのが判ったのかって？ 確かに貴方の周りには凶器になるものモノも無いし、其れらしきモノも、ましてや此処は屋上でも水辺でも無いですもんね。 不思議だなぁ。でも私は知ってるんです。 在るでしょう？ 遺書が、貴方の鞄の中に。 嫌だなぁ。酷いなぁ。傷付くなぁ。悲しいなぁ。切ないなぁ。 私が他人の鞄を勝手に覗くような奴に見えます？ あらら、其れを言われちゃ本末転倒じゃないですか。否、本末転倒と言うか本題転倒？ 失敬、失敬。 意味の解らないことを言ってしまいました。 まぁ、失礼な人ですね。 こう見えて私は暇じゃないんです。 何も用がないのにわざわざ来ませんよ。ただでさえ忙しいのに。 ましてや、こんな愚かな人間の所に。 おっと、これは失言でした、すみません。 まぁまぁ怒らないで下さいよ。 はいはい、古今東西。お静かに。 余談が多くなりました。蛇足に蛇足を重ねてもはやムカデ状態です。 笑えない。 そうですね、此処までかなり時間を使ってしまったので単刀直入に言うとしますか。 「貴方の願い事を叶えに来ました」 『貴方を殺しに来ました』