寒い寒い冬の日でございます【声劇】
台本→兎椎 少女→ 男→
寒い寒い冬の日でございます【声劇】
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寒い寒い冬の日で御座います。
雪はさらりと、美しく辺りを白く染め上げました。
『綺麗なものは嫌いじゃありません。』
そう呟いた私はどんな風にあの人の目に映っていたんでしょうか。
その時の私はまだ年端もいかない子供でしたので、はっきりしたことは覚えていません。どんな感情を抱いたのかも、気にしてなんていませんでした。
あの人は私を見ているようでしたが、その視線はどちらかといえば小さな手に握られた短刀に向いてるような気もしました。
「これは手前がやったのか?」
これ。これとは一体なんのことでしょうか。
辺りを見渡しても私の目に映るのは代わり映えのしないものばかりです
綺麗な雪。美しい月。半壊した建物に、夥しい血と死体の山。
あぁ、一体何がおかしいのでしょうか?
可愛らしく(少なくとも自分の中では)首を傾げると目の前のあの人は少しだけ驚いた顔をして私に歩み寄ってきました。
「愉快な餓鬼だな、これが手前ェの日常か?」
「えぇ、そうですよ。つまらない世界でしょう?もっと楽しい。面白い世界で生きてみたいわ」
そうやってニッコリと笑って見せたらあの人は不愉快そうに顔を歪めて
「はっ、まるで殺人鬼だな。碌な大人になりやしねぇ」
なんてことを言う。
だから私は心外だ。と言った顔をして
「私は私。これが普通で日常なんです。
貴方がそんな私を殺人鬼だと呼ぶのならば、それは貴方の感性であり私のものでは御座いません」
っと今出来る最大限の言い訳をした
まぁ、あの人は私みたいな子供の話なんか深く聞くつもりはなかったんでしょうけど…
「うちの首領が手前に用があるらしい。…ってわけで、大人しく俺についてこい」
「拒否権は?」
「ある訳ねぇだろ」
元から断るつもりはなかったのですがどのみち拒否権はなかったようです。
やれやれ、と言った顔をしてあの人に案内されるがままについて行きました。
あの人の元で生きてみました。
これが始まりです。
私がつまらない世界から抜け出そうとした、一番最初のお話です。
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#二人声劇 と言いたいのですが少女のセリフが圧倒的に多いです
少し長いかもしれないので判断で削ってくださって結構です
声劇リクエスト募集中です(´-`).。oO
また、ボカロ自己解釈声劇とかも(https://nana-music.com/sounds/027734aa/)
#声劇
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