少年が殺人鬼になる前のお話。
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少年が殺人鬼になる前のお話。
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#台本 #シリアス #朗読
#1人声劇
時間足りなければ最後の2行削っちゃっても大丈夫です〜
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思えば…母親は優しかった。
母親は常に僕に唱えた。
人を愛し 人に愛される人間であれ、と。
無償の愛を込めてやれる人間であれ、と…
でも、それが。
そう唱え、何も疑わず優しさを振りまいて 美しく生きようとした結果がこれだ。
足元に散らばり、アスファルトを赤く染めていく 母親だったはずの肉塊。
私利私欲で全てを壊され、殺された。
肉塊を踏みにじって、母親をそれにした張本人である男は不気味に笑う。
心の奥底から黒を帯びて湧き上がる感情。
憎悪、 そして嫌悪。
お母さん。
弱いものは強いものに淘汰される。弱ければ何も救えないんだよ。
愛なんかじゃ 誰も…
もう、遅いか。
悲しみに覆われそうな僕を奮い立たせているのは、明確な殺意。
ナイフを手に取って、握る。
お母さん。貴方の言う「人間」が「綺麗」を同等とするなら。
僕は今から 人をやめます。
初めて手に伝わってくる人を刺し殺す感覚が、手に絡みつく血が、身体に降る返り血が。
僕という人間の終わりのように思えた。
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