【声劇台本】無垢の女と黒鬼
音源様→さかな様 八百比丘尼→ 様 黒鬼→ 様
【声劇台本】無垢の女と黒鬼
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今宵、比丘尼と黒鬼は誓い合った
✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――
八百比丘尼→☆
黒鬼→★
★「お前、覚悟はしているのか。」
☆「えぇ、覚悟して貴方を選んだの。」
★「生憎、お前の姿は人間だ。俺の嫌いな、人間なんだ
いつか骨の髄まで食い殺してしまうかもしれない。」
☆「...比丘尼が、死ぬとでも思っているの?こうして、首に貴方の爪を立てたとしたら...」
(空白)
☆「クス...これだから鬼はいけないのよ、どうして自分の行動に責任が持てないのかしら」
★「なっ...お前...」
☆「黒鬼さん、貴方はもう忘れてしまったかしら?」
☆「私は比丘尼よ。貴方よりずっとずっと生きているし、何をしても死ねないの。
せめて貴方が死ぬまでは、私は共にいるわ。」
★「ハッ...俺がいつ死ぬと言った。それに、自らをいきなり傷付ける者がいるか。
今度やったら食い殺してやるからな。」
★「...なんだよ」
☆「なによ...」
☆「ふふ、食い殺せるものならやってご覧なさい。」
★「ふん、望むところだ。」
☆「望むところよ。」
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文章込みの元の小説はこちら↓
向かい合う二つの影は盃を交わす。
双方を行燈で照らされたその部屋は、真紅のすだれがかかっている。
大きく力強い影と、小さく細い影。
見つめあった二人は、ぴたりとも動かない。
「お前、覚悟はしているのか。」
黒く大きな鬼が問う
「えぇ、覚悟して貴方を選んだの。」
澄んだ声の女は返す
「生憎、お前の姿は人間だ。俺の嫌いな、人間なんだ
いつか骨の髄まで食い殺してしまうかもしれない。」
岩のような鬼の顔は眉間に皺を刻み、目の前にいる女を脅す。
衝動的に人間を殺したくなるのは本当だった。
昔刻まれた憎しみは 今でも消えることは無い。
この程度で逃げてしまうのなら、いっそこの場で引き裂いてやろうか
そう考えながら女の首に手をやり、鋭い爪を突き立てる。
女はただ目を閉じていた。
ふぅ、とひと呼吸つくと首元の鬼の爪に触れ、
己の首に向けて強く力を入れた。
「こうすれば、死ぬとでも思っているの?」
女はにたりと笑みを浮かべた
さすが鋭い鬼の爪、と言わないばかりに首に爪が呑み込まれていく
ぐちゃり、ぐちゃり肉を裂く音が聞こえる。
「これだから鬼はいけないのよ、どうして自分の行動に責任が持てないのかしら」
呆気にとられた黒鬼の顔を見て、クスクスと笑いながら言い放つ
理由の分からない女の行動にひるんだ黒鬼は慌てて手を引き抜いた。
首に空いた穴から、無数の血液の筋が流れていく。
女の晴れ着の白無垢は、じわりと血に染まってしまった。
「黒鬼さん、貴方はもう忘れてしまったかしら?」
じっと鬼を見つめる女の瞳はまっすぐだった。
「私は比丘尼よ。貴方よりずっとずっと生きているし、何をしても死ねないの。
せめて貴方が死ぬまでは、私は共にいるわ。」
女の強気な発言に、黒鬼もつられて言い返す。
「...俺がいつ死ぬと言った。それに、自らをいきなり傷付ける者がいるか。
今度やったら食い殺してやるからな。」
2人の視線に火花が散る。
どちらも気性の荒い2人であったので、全く相手に譲ろうとしない。
「ふふ、食い殺せるものならやってご覧なさい。」
「ふん、望むところだ。」
「望むところよ。」
弱くなった行燈の灯りが、ゆらゆらと揺れた。
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