声劇台本｢最初で最後の嘘｣

なな

素敵な台本 僕は嘘をついた。 大好きな君についた初めての嘘。 僕は嬉しいよ。 僕が僕であるうちに、人生が終わってさ。 最後まで君の手を握っていられてさ。 そうそう。 僕がついた嘘のことだ。 それは君に「もう泣かない」って言ったこと。 弱虫だった僕が君と結ばれる時に約束したこと。 あれから一度だって泣かなかったでしょ？ でも、最後の最後で……破っちゃった。 許してくれ、なんて言わないよ。 怒りでも、悲しみでも、どんな形でも僕のことを覚えていて欲しいから。 なんて、わがままかな。……ごめん。 ……あぁ、もう時間だ。 ほら、笑って。 うん。やっぱり。 君でよかった。