【朗読】「ののさま」
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【朗読】「ののさま」
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拝啓
私はいまだに、月のことを「ののさま」と呼びます。
笑われたり、変な目で見られることもありますが、私にとって、夜空に輝くそれは「ののさま」であって、「月」ではありません。
「そんな言葉、初めて聞いた」「あなたが作った言葉でしょ」
そう言われることもあります。哀しい気持ちになります。
でも、私は出会ったのです。
とてもきれいな言葉だね、その人はそう言ってくれました。
あなたが教えてくれた「ののさま」を、初めて認めてくれました。
…そう、その人が以前紹介した人です。
私ももうすぐお母さん。
あなたが教えてくれた「ののさま」を、今度は私たちがこの子に教えます。
あなたの思いは、いつまでも。「ののさま」とともに…
敬具
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昔読んだ本で「ののさま」を知り、それからずっと「ののさま」です。
言葉は生き物なのでいつか死にますが…できるだけ長生きさせたい言葉のひとつなので、みなさんも月を見上げる度に「こんな呼び方があったな」と思い出して頂けたら幸いです(笑)
ご自由にお読みください!
こぼれ話。
ののさま、のんのさま、のんのんさまは、月だけでなく神や仏を指す言葉です。
「のりのつかさ」から来ているという説があります。
のりのつかさ…式部省という法律を管理していた機関です。
法を司るので「法(のり)の司(つかさ)」呼ばれました。
「のりのつかさ」→「のりのさま」→「ののさま」といったところでしょうか。
また、「法」という漢字は仏教用語で、一切の万物に通ずる…つまりなんかどエライってこと(笑)
なので「法律」と呼ばれるのですね。
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