[ 朗読 ] 浮き草
レーニャ
[ 朗読 ] 浮き草
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朗読。
すてきだなあと。
「浮き草」
夜も明けきらぬ川辺は
しっとりと霧に包まれ
岸に茂る草花は
未だ眠たげに頭(こうべ)を垂れる
湿った舫い綱(もやいづな)をほどけば
小舟は静かにすべり出す
凪いだ水面を舳先(へさき)が割けば
白くけぶる空に鴫(しぎ)の声が響く
時折、水棹(みさお)をゆっくりと手繰る
幾重にも広がる波紋に乗って
家族の笑顔や友の歌声が
次々と浮かんでは消えていく
思えば遠くへ来たものだ
懐かしい故郷はもう無い
私は浮き草のように
今日もこの身を漂わせる
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1commnets
- ニョゼ深みのある語り、素敵です✨ ありがとうございます(*´▽`*)