Short Story Piano BGM (泣く為の居場所)
シュリ
Short Story Piano BGM (泣く為の居場所)
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声劇や朗読ではありません。
ちょっとした、BGM付きのお話です。
お時間がありましたら…拙いですが、読んで頂けましたら幸いです。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
「どうして、泣いているんだい?」
突然声をかけられた。
心配そうな、どこかさみしげな…そんな眼(まなこ)を私に向けていた声の主。
ここは、普段なら誰も来ない…そんな辺鄙な場所なのに。
どうしてこんな場所に、声の主…彼は、現れたのだろう。
「な、何でもないです…ちょっと…」
私は慌てて涙を拭うと、作り笑いを浮かべた。
泣き顔を他人(ひと)に見せたくないから、ここで一人…声を押し殺しながら泣いていたのに。
「うそ、なんでもないなら…泣くはずないでしょ?」
彼は優しい笑みを浮かべて、私にそう言った。
その言葉に…涙腺は緩み、作り笑いは崩れ、再び溢れ出る涙。
「ーっ…!!…ぅ、うっ!」
思わず漏れる嗚咽、哀しみに崩れる表情。
枷が外れたかのように、私は再び泣き始めた。
「我慢しなくていいんだよ、涙はね…体の中の悪い成分を出してくれるんだ。だから、いっぱい…気の済むまで、泣くといいんだ」
そう言って、彼は私を優しく抱き締め…頭を撫でて宥めてくれる。
私はもう我慢が出来なくなり…わぁわぁと声を上げて、彼の腕の中で泣きじゃくった。
「我慢しないで、僕がいる。君は、一人なんかじゃないよ?」
「わた、わた、し…、もう、ど、どうしたらいいの…?!一人は、さ、みしい…もう、いやだよ、つらいよ…!!」
気が付いた時には、思わず口から本音が漏れていた。
私には、両親も友達もいない。
両親は事故で小さい頃に他界。
学校では…誰にも相手にされていない、一人ぼっち。
だから、頼る人も相談出来る人もいなく、人の来ないこの場所で…いつも泣いていた。
ある程度泣けばスッキリする。
いつもの事だから、今日もそのはずだった。
でも、今日は違った。
いきなり現れた彼が…私を優しく抱き締めてくれている。
知らない人なのに。
何故彼は、こんな見知らぬ私に優しくしてくれるのだろう…
「つらかったね、僕が…もっと早くに気付いてあげていれば」
彼は…ぽつり、とそう言った。
ー………
ひとしきり泣いた私は、ようやく落ち着く事が出来た。
彼は私から離れると、私の目元に残っていた涙を、親指の腹で拭い取ってくれた。
「もう大丈夫。次からは、僕の胸の中が…君の泣き場所ー。こんな所で、一人我慢して泣かなくてもいいんだよ」
彼は、優しい笑みを浮かべて私の目を見つめて、そう言ってくれた。
そんな彼の笑顔につられ、私も自然と…ふわりとした笑みを浮かべていた。
ー………
「もう十年も、前かぁ…」
私はぽつり、と呟いた。
現在、既婚で妊娠中。家庭をもち、主婦になった私。
「んー?何か言った?」
「ううん、何でもない」
声の主は…
…十年前に、泣く為の居場所を私にくれたひと。
何でも、私が隠れて泣いているのを…かなり前に見かけてから、ずっと気にしていたけど…なかなか声をかけられずにいたとか。
あの時の彼は…
私の、現在(いま)の…旦那様でした。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
なんか、よくあるあるな感じの平凡なお話になってしまいましたが…
フォロワーさんが、オリジナル曲にお話をつけているのを見かけてから、ずっとやってみたくて…
今回時間があったので(超絶書きたかったので)初挑戦してみました。
拙過ぎる文章をここまでお読み頂き、ありがとうございました!m(_ _)m
Comment
7commnets
- シュリ
- Rin'(凛)@マイペース和風っぽいかんじでしっとり泣きたくなるような切ない曲ですね(ノ_<。)
- シュリすんごく長いのに、最後まで読んでくれてありがとう(o^^o) 時間制限ないなら、本当に誰か読み手様に読んで欲しいなぁ…っていうのはちょっとあったよ(笑) ありきたりだし、即興で書いたから色々と手直ししなきゃならないところが…orz でも、ずっとやりたかったからやってみた←← Jも、もしよければ(*´ω`*) 出来たら、読みに全力でお邪魔します!!(*・ᴗ・*)و!
- シュリうん、最後はね、ハッピーにしてあげたかったこのお話。 弾いてて切ないような悲しいような、そんな音色だったけど、最後の最後で明るい音色に切り替えして終わらせたのはそこにあるんだ。涙で締めくくるより、笑顔のほうがいいかなって!
- シュリ
- シュリ
- Guardian&N Japan泣くための場所、私も時々そういう場所を探すことがあります。でも、いつのまにか、ギターがそうなってきました。BGMとお話、とても素敵です^_^