【声劇台本】傘の降る夜(一人用)
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【声劇台本】傘の降る夜(一人用)
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【台本】
傘がなくて、もうどうでもいいやと部屋を飛び出した。
理由もなく、ね。
君がいなくなってすぐ、世界は泣き始めた。
まるでやだよやだよ、なんて駄々をこねてる子供みたいだね。
嫌だなぁもう。
君がいないからって何が変わるわけじゃない。
いつも通り過ごして、いつも通りに1日を終えて、また新しい1日を迎える!
ただ、それだけのことなのに。
私は気づいたら君の家の前にいて、2階の君の部屋を見上げていた。
もう、なんでかなぁ。
俯き加減で自嘲する。
きっと視界が滲むのは雨粒だけのせいじゃない。
ふと、コツ、と音がして傘が降って来たのに気づいた。
いつか君と買ったおそろいのキーホルダー。
何も言わず、乱暴に傘を拾い上げて来た道を戻る。
2階の窓に人影が見えた気がしたけれど…
姿なんて見せてやるもんか!
少し大きめの傘で体を隠すようにしながら走った。
目尻に溜まっていた滴が弾けて、流れ落ちた。
#声劇
#英雄書房
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