1 路地裏の小さな喫茶店 ありふれた日常で
Guardian
1 路地裏の小さな喫茶店 ありふれた日常で
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がーでぃ庵 物語原案 作曲
チリンチリン…少し暑いけれど、どこからともなく聞こえる風鈴の音が涼しさを感じさせてくれる。とある街の路地裏に、1人の青年が喫茶店兼何でも屋を開いていた。お昼ちょっと前にお店のカギを開け、いそいそと準備に取り掛かる。コーヒーと紅茶、ガトーショコラ、クッキー、サンドウィッチ、カレーライス、ナポリタン、これしかメニューはないけれど、1人でやるにはこれが精一杯。いつものように、クッキーとケーキを焼き、カレーとその他のメニューに使う野菜を仕込みしていた。今日も、常連のお客が来た。近所に住むおじいちゃん2人。何十年来の幼馴染でいつも、開店少し前に来る。「おーい、まだこの店潰れてないなぁ、カレー2つ、それと…」
「アイスコーヒー2つですよね」
「おう、早くな!」「年寄りは朝早いから昼飯も早く食わねぇと、いつ死んじまうかわかんねぇでよ」
「はい、はい、もうちょっと待って下さい」青年は、孫くらいの年だから、おじいちゃん達は何でも言いやすかった。
「はい、お待たせしました、どうぞ」実はふたりとも、毎日ここで昼食を取り将棋をするのが楽しみ。
「マスター、ちょっと聞いてよ!あのバカ専務ったら、また今日もお茶が渋いとか、夜付き合えってしつこいの。こんな暑い日に誰が好きこのんであんな無神経おやじと付き合わなきゃなんないの!」
店から五分くらいの会社で働いているOL。美人だけどちょっと毒舌。
「いらっしゃいませ、アイスコーヒー、サービスするから機嫌なおして下さい」
「ありがとう、マスターいつものね。それとお礼…」そっと頬にキスをしてくれた。「おい!お前ら真昼間からいちゃつくな!昼飯がまずくなる」「あら!いい歳してヤキモチやくのぉ、おじいちゃん達」「ふん、話にならんな」「まぁ、そう怒るな、ほら次で詰むぞ」「お!待った」
「ねぇ、あのおじいちゃん達、よくあきないわねぇ。毎日でしょ。マスターも大変ね」「いいえ、常連さんだし、二人とも案外優しいですよ、僕を孫の様に接してくれますから」
「お孫さんいないの、あの二人…」
「いない訳じゃないみたいです、離れて暮らしているようです。でも、住み慣れたこの街から二人とも出たくないと…そんな感じの話をたまにしてますね」「若ぇの、そのねーちゃんに余計なこと話すな!」「え、あ、はい」「ばばぁより、ねーちゃんの方がマシでしょ!じじい!」「おい!心臓に悪いからそいつとっとと追いだせ」
「このぉ…」「はい、お待たせ、サンドウィッチとアイスコーヒー、さ、早くしないとお昼休み終わりますよ、ね」「うん、そうね、頂きま〜す」また今日もなんとか頑張ろう…ふぅ。 つづく
どのような感じに展開するか、思いついたらまた、投稿したいと思います。読んで頂きありがとうございます。
BGMは、私が以前アップした曲なのですが、もし、この物語にBGMを付けてみたいと思って頂ける方がいましたら、お声を掛けて頂ければぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします😊
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