【声劇台本】僕たちは1人だった part5
神崎静流
【声劇台本】僕たちは1人だった part5
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そこに立っていたのは、息を切らせ、真剣な顔をした青年教師だった
「僕だって、気づいていたんだろう? どうして声も掛けずに帰ろうとするんだ…?」
責めるような青年の口振りに、少年は不意に顔を背ける
大方、クラスメイトに今の少年の立ち位置も聞いたのだろう。そう考えると、余計に冷めた感情が胸に立ち込める
「別に。どうだっていいだろ」
「大事なことだよ。僕は君と過ごした時間は大切なものだったと思ってる。君は違うのか?」
真面目くさった表情で当然のようにそんなことを口にする青年に、少年は怒鳴り返していた
「あの時あんたが……!」
誰もいない廊下に少年の声が木霊する
激情を見せたことが恥ずかしくなり、少年はすぐに口を閉ざした
けれど、感情を胸の内に留めておくこともできなかった
「あんたが来なくなったんじゃないか……」
絞り出すような声でそう言って、少年は背を向ける
「もう僕に関わらないでくれ……。僕はひとりでいたいんだ……」
最後にその言葉を置き土産にして、少年は歩き出した
言葉を口にした瞬間、ズキリと胸が痛んだ気がしたが、それさえも言葉と共に置いていくようにして…
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