【朗読台本】夢の中の少年【一人声劇】
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【朗読台本】夢の中の少年【一人声劇】
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昔、書いた詩を皆さんに読んでいただきたくなりました。
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深い眠りについた時など
ときどき夢の中で出会う少年がいる
彼はぼくを見ると
会ったことがまちがいだったかのように
上着のえりをたてて顔を隠しながら
そそくさと壁のむこうに消えてゆく
そういうわけで
彼がどんな顔をしているのか
眼がさめた後思い出せずにいる
そんな彼との関係が
もう何十年も続いている
なぜ彼はぼくの夢に出てくるのか
彼はぼく自身なのか
それともぼくではない誰かなのか
ぼくでないとしたら一体誰なのか
20代のころフロイトだのユングだのを読んでみたが
答えは見つからなかった
毎朝歯をみがくために
鏡の前に立つ自分はどんどん年をとっていくのだが
夢の中の彼はずっと少年のままだ
やがてぼくの寿命がつき
薄れてゆく意識の中で
最後に少年と出会うのだろうか
君は誰だったのかと聞いたら
彼は何と答えるのだろうか
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わたしが高校生だった頃に書いた詩です。
難しいことを考えることが、大人だと思っていました。
十分大人になった今は、難しいことをシンプルに考えようと心がけています。
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