【朗読】てぶくろをかいに 9
新美南吉(光)
【朗読】てぶくろをかいに 9
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するとこんどは、子供の声がしました。
「母ちゃん、こんな寒い夜は、森の子狐は寒い寒いって啼いてるでしょうね」
すると母さんの声が、
「森の子狐もお母さん狐のお唄をきいて、洞穴の中で眠ろうとしているでしょうね。さあ坊やも早くねんねしなさい。森の子狐と坊やとどっちが早くねんねするか、きっと坊やの方が早くねんねしますよ」
それをきくと子狐は急にお母さんが恋しくなって、お母さん狐の待っている方へとんで行きました。
お母さん狐は、心配しながら、坊やの狐の帰って来るのを、今か今かとふるえながら待っていましたので、坊やが来ると、暖かい胸に抱きしめて泣きたいほどよろこびました。
二匹の狐は森の方へ帰って行きました。
月が出たので、狐の毛なみが銀色に光り、その足あとには、コバルトの影がたまりました。
新美南吉作
BGM レーニャ様
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