ある夏の夜の路上にて 演じてみた
うわのめ
ある夏の夜の路上にて 演じてみた
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台本↓
「お前こそ。何してんだよ、そんな所で。」
「ただの散歩だよ。」
質問に質問で返せば、黒いパーカーのそいつはいつものように笑顔で答えた。
いつものように、貼り付けた笑顔で。
「で、なにしてんの、シンタロー君?」
「別に、買い物帰り。」
手に持ったコンビニ袋を肩のあたりまで持ち上げて見せれば、そいつはからりと笑ってそうかと返してきた。
しばらくの沈黙の後、帰ろうかと思い口を開いた瞬間、それに被せるようにそいつは呟いた。
「ねぇ、シンタロー君。覚えてる?」
「…何を、だよ…」
すっと顔を上げたそいつは、赤いマフラーをたなびかせながら俯きがちにこう言った。
「前にも僕たち、こんな風に会ったよね。」
俺はおもわず、息を止めた。
「ねぇ、シンタロー。私のこと、忘れちゃった?」
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