季節は次々死んでいく
兎 (amazarashi)
季節は次々死んでいく
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季節は次々死んでいく
朗読
amazarashiのCDに付属してくる詩を何度も読み返しながら曲を聴いていると、時間はあっという間に過ぎてしまう。
詩
最北端の崖っぷち
うなだれた春が
やたらめったら飛び降りて
うら寂しい住宅街の公園
日が落ちた後に寄り合って
次が来るのを待っている
ひそひそ声で待っている
身内ばかりで執り行う
僅かばかりの葬列に
夏が沈痛な面持ちで
睨む空が真っ青で
火葬場の煙がふらふらと
入道雲に変わる頃
まんじりと動かぬ太陽が
都市を焦がす正午過ぎ
ビルの陰で日を避けて
首の汗を拭う
日々の忙しさにかまけて
忘れていた春を
「いい奴だったのに」
と懐かしむ
夏の今日
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