第1話「邂逅」
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第1話「邂逅」
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1月某日。
事務所内のレッスン室に集められたメンバーたちは、そわそわした様子で何度も何度も扉を見ている。
その理由は単純明快。もうすぐ、彼女たちの公式ライバルグループとしてデビューするアイドルの卵たちが来る予定だからである。
既にグループの特色などは知らされており、メンバーたちの話題はこの日までライバルグループの話で持ちきりだった。
それほどこの日を楽しみにしていたメンバーたちは、響いたノック音に慌てて整列した。
🛍「は、はい!」
少し声を上擦らせながらミレイが返事をすると、レッスン室の扉がゆっくりと開いた。
🔖「ライバルグループとしてデビュー予定の方々をお連れしました。皆さん、どうぞ」
ごくり、と誰かの喉が鳴る。
ミアに続いて入ってきたのは、メンバーたちとそこまで歳の変わらない少女たちだった。
途中までメンバー全員がにこやかにアイドルの卵たちを見守っていたのだが、最後に入ってきた少女を見た途端、モモとリリが声を上げた。
🐈🐕「チサちゃん!?」
🌌「モモ、リリ。久しぶり」
💍「えっ知り合いの子?」
🐈「あ、あたしとリリの共通の友達なの……びっくりしたぁ…」
🌌「ふふ、驚かせてごめんなさいね」
困ったように笑ったチサは、オレンジ色の髪の少女をちらりと見ると、視線を落とした。
🔖「まさかお知り合いの方がいたとは…。んん、とりあえず自己紹介をしていただきますね。まずはサナさんからお願いします」
👠「はい。皆様はじめまして。わたくしはサナと申します。リーダーを務めさせていただきます。よろしくお願い致しますわ」
クリーム色と黒が美しいグラデーションを描く髪を緩やかに巻いているサナは、上品にお辞儀をすると彼女によく似た少女に目で合図を送った。
🫖「はじめまして。サナお姉様の妹のサノと申します。よろしくお願い致します」
サノは冷たさを感じる双眸を伏せ、姉と同じように上品にお辞儀をすると、青い髪の少女・チサへと手を向けた。
🌌「チサです!モモとリリの共通の友人です。…実は諸事情で住んでいる家が違ってたんですが、アタシにも双子の妹がいて…。ちょっと事情が複雑なんでそこは省きますね!よろしくお願いします!」
チサはぎこちなくそう言うと、そのまま黙り込んだ。
👑「皆さん、はじめまして。チサの双子の妹、リョウと申します。姉ともどもどうぞよろしくお願いします」
オレンジ色の髪のリョウは、まるで王子様かのような手つきで桃色の髪の少女に合図を送った。
🩰「マユノです!可愛いアイドルになれるように頑張りますっ♡よろしくお願いします!」
マユノは、自分の後ろにいた前髪の長い小豆色の髪の少女の背をそっと押した。
🎧「あ、あの…アユナです…。マユノお姉ちゃんの妹、です。よろしくお願いします…」
縮こまっていったアユナは、またもやマユノの後ろに隠れてしまった。
🔖「以上の皆さんが、今月"Darkness▼Princess"としてデビューを迎えます。今日は自己紹介のみになってしまいましたが
、今後一緒に仕事をすることが増えると思います___」
ミアが淡々と話を進めるなか、モモとリリだけは微妙な表情をしたままだった。
*
Darkness▼Princessのメンバーたちが退室した後。
レッスンが始まるまでの間、Twinkler+Twinsのメンバーたちは雑談をしていた。
🛍「サナちゃんとサノちゃんはお嬢様よね。彼女のご実家とご家族が雑誌に載っていたのを見たことがあるわ」
🍰「え、雑誌に載るくらい有名なんだ…」
💍「お嬢様ってホントにお嬢様なんだね…」
🍮「なにそれって言いたいところだけど、そう思うのすごく分かる」
しかし、ライバルグループの話題に変わってからは、少しずつモモとリリが曖昧に相槌を打つだけになり会話に参加しなくなっていく。
4人はそれに気がついていたが、とりあえずは気がつかないふりをして会話を続けた。
*
レッスン後。
仕事があるからと先に抜けたミレイとレイナを見送り、レッスン室にはリカとミユ、モモとリリだけになった。
リカとミユは目配せをすると、浮かない表情をしているモモとリリの手をそれぞれ取った。
🐈🐕「えっ!?」
🍰「モモちゃん、リリちゃん。チサさんのことで気になることがあるの…?」
🍮「モヤモヤしていると辛いよ。連絡手段があるなら聞いてみな?」
リカとミユに優しく言われたふたりは、眉を下げた。
🐈「…ごめん、心配かけちゃっていたんだね。あとでミレイちゃんとレイナちゃんにも謝らなきゃ…」
🐕「ありがとう、ふたりとも。…そうだね。チサちゃんに聞いてみることにする。同じ家に住んでいなかったって言ってたけど、チサちゃん自身から1回も妹の話を聞いたことがなかったの。だから…訳ありって言われると気になっちゃって」
🐈「あっでももしチサちゃんが言いたくないって言ったら聞かないようにするからね!!そこはちゃんとするよ!」
🍮「まだ何も言ってないわよ」
🍰「…ふふ、言うつもりだったんだ」
モモとリリにいつもの表情が戻り、リカとミユは安堵のため息をついた。
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