MISSION:02『あの星に君がいた頃』
song💠ワルキューレがとまらない
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今日も万事つつがなく。ウイルスを鎮めさえすれば『歌乙女』の任務は終わる。戦いの中で砕け散った星の欠片や、微量のウイルスの残骸は事後処理部隊に任せ、雪ノ瀬 万莉は一人そそくさと帰還した。
防衛大臣ともあろう自分が、現実から出来うる限り目を背け、逃げるような生活を送っていることに負い目を感じないわけでは無かったが、前線で指揮を執ったとて、自分如きに『彼女』の代わりが務まるとも思えなかった。
「今頃、どこで何をしてるんだろう」
ワルキュリアを解除して自室のベッドに倒れ込んだ万莉は、窓際に飾られた写真立てに視線を向け億劫そうに瞬きをした。写真の中には、十代半ば程と思しき三人の少女が写っていた。万莉とこよみ、そして──。
「また会いたいなぁ……」
夕焼けのような色合いの明るい髪が良く似合う、正義感の強そうな少女は、万莉の呟きなど他所に、平然と笑っているだけだった。
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六年前、万莉は初めて『歌乙女』に選ばれた。あまり裕福では無い家庭で育った彼女は、優秀な妹を学校に行かせてやるために、自身は朝から晩まで働き詰めの生活を送っていた。そんな中『歌乙女』選定の時期が近づいていることを知り、少しでも家の足しになればとダメ元で応募をしてみた所、何と本当に選ばれてしまったのだ。
万莉の人生は一転した。生まれて初めて綺麗な服を着て、豪華な食事をして、学ぶ楽しさを知った。そして何より、友達が出来たことが一番嬉しかった。万莉の代の『歌乙女』達は六人全員の仲が良かったが、その中でも万莉は二人の少女に夢中になった。一人はこよみ、そしてもう一人は椿 千春という少女だった。
「私が来たからにはもう安心だよ。全部蹴散らして見せるから」
勝気な言動と、それに劣らぬ身体能力・ワルキュリアへの強い適合度を持っていた彼女は、いつも『歌乙女』たちの先頭を歩いていた。その能力を買われ、銀河防衛大臣に指名された後も、彼女の邁進は止まることはなかった。千春さえいれば、きっと無敵だ。誰もがそう信じて疑わなかった。あの日までは。
「こちら鹿目こよみ。至急応答をください。先程から、千春さんの姿が見えないんです!」
「どうして、さっきそっちに向かうって……まさか、あの子一人で……!」
万莉達が『歌乙女』となってから二年が経過したある冬の日。見たこともない程大きな靄が星を覆った日。彼女は誰の指示も聞かず、何故かたった一人でウイルスに立ち向かっていった。そうして万莉達が気がついた頃には、ウイルス諸共彼女の姿は消え去ってしまっていた。部隊の人々は肩を落とし、彼女の死を仄めかすような事を口にしたが、『歌乙女』達はけっして諦めなかった。千春は必ず生きているはずだと信じていたから。またいつか、笑って隣に立てる日が来るはずだと。残された五人はそう言って、彼女が戻ってくるその日まで、力を合わせて星を守り続けていくことを誓い合った。
だが、『歌乙女』達の関係はその後不幸にもひび割れていく事になる。
千春が居なくなった次の年、立て続けに二つの失踪事件が起こった。星の第二王女愛鈴様と、当時探索部隊の隊長を勤めていた菫沢 礼美という娘が、たったひと月の間に姿を消してしまったのだ。二人の捜索は何ヶ月も何年も休み無く続けられたが、『歌乙女』の任期が終わる頃まで、彼女達が見つかることは無かった。
そして『歌乙女』が代替わりする年の冬の終わり、こよみがふと一つの仮説を呟いた。
「千春さんが居なくなったことと、お二人の失踪事件には、何か相関があるのかもしれません」
俯きながら話すこよみの顔は、万莉の方からはよく見えない。こよみは一瞬言葉を途切らせると、僅かに震える息を吐いた。
「千春さんは、あの時自ら姿を消しにいったように思えるんです。もしかしたら、お二人の失踪は千春さんが……」
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何、こよみちゃんは、千春が失踪事件の犯人だって、そう言いたいわけ?」
「断定はしていません。あくまで仮定の話です」
「何それ。……信じようって言ったじゃん。私たち皆、千春が戻ってくることを信じようって!」
こよみが千春のことを疑っているのは明確だった。悪気があって言っているわけではないことは分かっていたけれど、万莉はどうしても、その他人行儀な態度が許せなかった。他の仲間たちも、こよみに同調する者、万莉に同調する者、中立に立つ者とバラバラに分かれ、彼女達の思いは分裂したまま『歌乙女』の任期が終了した。
その後、万莉とこよみだけが再度『歌乙女』に選定されたが、二人はもう以前の様に親しげに話すことは無くなった。
「千春が帰ってきたら、こよみちゃんとも仲直り出来るかな」
万莉は声音にやるせない色を滲ませて呟くと、静かに目を閉じた。
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🎀椿 千春(CV:中条 瑠乃)
https://nana-music.com/users/1791392
❄️雪ノ瀬 万莉(CV:桐生りな)
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🔮鹿目 こよみ(CV:海咲)
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❄️ワルキューレがとまらない(💠Fu Fu Fu)
🔮ワルキューレがとまらない(💠Fu Fu Fu)
🎀ワルキューレはとまらない(💠Fu Fu Fu)
💠ROCKIN' MY JET☆彡
COSMIC LOVE…TAKE OFF!
❄️Ah…教えて
果てない記憶の片隅で
こぼれた涙は❄️🔮星になるでしょ
🎀Ah…聴かせて切ない吐息の子守唄
あなたを刻みつけた🎀🔮あの日の空
🔮ふいに身体が歌えば
心踊りだす
わたし溢れ出す胸は
💠―激情―
🎀とまらないから!
💠このまま抱きしめて
夢が醒めるまで
🔮何もいらない ❄️愛もいらない
💠壊れちゃうから Ah
💠裸のままでいいよ
朝までみつめて
🎀破れかぶれで 🔮全て忘れて
❄️愛しさが とまらない
🔮ワルキューレがとまらない(💠Fu Fu Fu)
🎀ワルキューレがとまらない(💠Fu Fu Fu)
❄️ワルキューレはとまらない(💠Fu Fu Fu)
💠ROCKIN' MY JET☆彡
COSMIC LOVE…TAKE OFF!
❁⃘*.゚─────❁⃘─────゚.*❁⃘
#らびぷろ #Angel_tune
#ワルキューレがとまらない #ワルキューレ #野田工房伴奏
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