愚か者
芭流覇羅
愚か者
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⚠自己解釈/二次創作/雰囲気真似⚠
10月31日。ハロウィン。
仮装をすることで死者の魂から逃れ、さらにはお菓子を貰える子供にとっては魅惑的なお祭り騒ぎの、その裏側で。
己の尊厳と、意地と、プライドをかけた戦い—などといえば聞こえはいいが、その実、不良のチームがぶつかるだけである—が行われようとしていた。
首のない天使、芭流覇羅。
突如として新宿に姿を見せ、頭角を現したそのチームが、今や東京一も目前と言われる東京卍會とぶつかると合って、不良たちの間ではちょっとした話題にさえなっていた。
それこそ、仕切り役にICBMが、観客に六本木のカリスマがやってくるほどだ。
とはいえそんなこと、喧嘩には微塵も関係がない。
そこにあるのは己こそが正しいのだと誇示したい、示さなければ生きていけない子供たちだけだった。
「よぉ一虎、調子はどうだ?」
一人、集合場所のコンテナに腰掛けて足を揺らしている羽宮に、場地が声をかける。羽宮は気の抜けたような返事と共に視線だけを彼に向け、また視線を足元に戻した。
ユラユラ、ブラブラ。意思などなく、ただぼんやりと規則的に行ったり来たりする両足はどこか落ち着かなさを感じさせる。実際、彼らは元々東京卍會に所属していたのだから、落ち着かないといえばそれも納得できるものだろう。思うところが少しもない、というのはありえない話だった。
よっ、という掛け声と共に場地が羽宮の隣に、同じように腰掛ける。けれど彼は足を揺らすことなく、ただぼんやりと空を見上げているだけだった。
「……後悔でもしたか?」
「なっ……!ちが、違う!だって悪いのはアイツで、俺は間違ってなんか、後悔なんか……」
視線を向けないまま場地が放った言葉に、今度は返事が返ってくる。尋常でないほどに焦っている羽宮の瞳は、視線が定まらずに揺れている。
多分、きっと。あの日からずっと、羽宮は迷い子のままなのだ。そうさせてしまったのは、あの日、彼を止められなかった自分だと、場地はずっと思っている。
だからこそ場地には、迷う理由も、悔いる権利も、流す涙も。もうどこにもないのである。
「俺はずっとお前の味方でいるぜ、一虎。だから迷うな。お前が思ったようにやれ」
場地のまっすぐな言葉に、一虎の両足がピタリと止まる。視線も呼吸も、全てが彼に吸い込まれるようだ。心の奥底に仕舞い込んだ何かさえも引きずり出されそうで、目元をグイと拭った羽宮は、下手くそに笑って見せた。
「ごめん、場地……ありがとう」
「オマエがそんな素直だと気持ちワリィよ」
「は?人が素直になってやったのに何だよその言い草は」
二人の間に流れる空気が途端にグンと幼いものに変わる。これから抗争が行われるなど微塵も感じられないほどいつも通りで、当たり前のような空気感で。
だからこそ羽宮は、場地がずっと隣にいてくれるのだと、信じることができた。信じられた。
信じていたのだ。
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ぐしゃりと肉を断つような、気味の悪い感触だけが手元に残っている。
あの時、本当に場地が言いたかったことが何だったのか。顔を見れば少しは分かったのだろうか。
そんな夢想に、ずっと、囚われたままでいる。
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🐺場地圭介:結衣華
🐯羽宮一虎:イヴ
🤡半間修二:ししゃも昆布
🤡曖昧な言葉に別離(グッバイ)
冷めた情熱は 戻りゃしないが
きっと貴方 逃げ切り殺法
終幕(エンドロール)の前で死去(ゲームオーバー)
🐺死去(ゲームオーバー)
🐯大胆に小銭で窃盗
こちら金亡し 堪忍だって
言った処で悪童に説法
人を斬っても英雄みたいだ
🐺泪はもう流し飽きた
👼最低の人生だ
何度も痛い目に あっちまったんだ
🐯幻想を打っ飛ばせられたら
きっと幸せだったかな
🤡貴方の周りのお馬鹿さんよ
耳を塞いじまったのかい?
🐺貴方の愛しい愚か者
目も見えなくなったのかい?
original⇢https://youtu.be/I0dklg3_2Jo
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