第2話「困惑」《💍🍮🐕編》
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第2話「困惑」《💍🍮🐕編》
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No side
ミレイたちが悪口の数々に気がついたときとほぼ同時刻。
準備を済ませて現場に入ったレイナ、ミユ、リリの3人は、自分たちが挨拶をした瞬間凍りついた空気になった現場に困惑していた。
🍮「え…何?」
🐕「わからない…けど、とりあえず監督さんに挨拶に行こう?」
💍「うん…」
周りの冷たい視線やこそこそと何かを話す人々に怯えながら、3人は監督の元へ向かった。
レイナが代表として挨拶をすると、監督は鋭い目で彼女たちを睨んだ。
「あんたたちみたいな問題のあるアイドルを主演なんかにするんじゃなかったわ」
開口一番にそう言われ、思わず縮こまる。
しかし、そこまで言われるような問題がある行為はしていない。
震えているふたりより前に出て、リリは口を開いた。
🐕「問題があるとは、どういうことでしょうか?」
「は?…本気で聞いてるの?」
リリの言葉に、監督は眉を顰めた。
「あんたたち、主催ライブをむりやりやろうとしたり、態度がでかかったりするんでしょ?そんなの聞いてたら抜擢しなかったのに。…ほら、もう挨拶はいいから」
監督はそう言うと、こちらから目線を背けた。
話は終わり、ということなのだろう。
3人は震える足で監督の元を離れ、隅の方に集まった。
🐕「こ、怖かったぁ…!!!」
💍「リリすごかったよ…!動けなくてごめんね」
🍮「私も…ごめん」
🐕「えっ、謝らないで…!えっと、気づいたら体が動いて、声が出てたの…」
あたふたするリリに、レイナとミユの表情が緩む。
ミユは顎に指を置き、思考を巡らせる。
🍮「そういえば監督、主催ライブのことなんで知ってたんだろう…」
💍「あ、確かに…。情報が漏れてるってこと?」
🐕「でも、情報が漏れてるとしても、あんなに悪い噂までくっつくのはおかしくない…?」
うーん、と考えるが、答えは出てこず、あたりが静まり返る。
その静寂を壊したのは、ミユだった。
🍮「ていうかさ、私たち、あんなふうに監督に言われるようなこと一切してないよね?」
🐕「うん、絶対に!」
💍「そんなことしたらミアさんに怒られるどころじゃ済まないしね。…ていうか、周りの人のおかげで活動できてるのに、恩を仇で返すようなことしたくないよ」
皆の意見が一致したところで、レイナの携帯が鳴った。
着信相手を見て、レイナは察した。
💍「ミアさんだ。…たぶんお姉ちゃんたちもおんなじなんだと思う。ちょっと出てくるね」
🍮「了解」
🐕「いってらっしゃい…!」
レイナは人気のないところで通話開始ボタンを押した。
電話では、案の定姉たちも同じ目に遭っていること、とにかく何も言わずにやりすごすことが伝えられた。
原因がわからずに嫌われるなんて、恐怖でしかない。
しかもTwinkler+Twins全員が身に覚えのない噂をされて、それを信じた人に傷つけられているのだ。
何も言わずにやりすごすことが、現段階で最善策であることはわかっている。
けれど。
💍「みんなが…身に覚えのないことで傷つけられるのは…辛いよ…」
このままここで号泣したい気分だったが、撮影時間も迫っているし、ミアからの伝言をふたりにも伝える必要がある。
レイナは携帯を強く握りしめ、涙を拭いながら現場へと戻った。
*
ミアSide
🔖「…ということが起こっているようです」
「なるほど。…事情は把握したわ。私も時間がある時に原因究明に努めるわね」
🔖「ありがとうございます」
「…しかし、困った事態になったわね。部外者にまで漏れているとなると、主催ライブをやるかやらないかではなくて、やるしかない状態になるわ」
コツリとヒールの音が重く響く。
プロデューサーは紅いリップが取れるのではないかというほどに唇を噛み、やがてため息をついた。
「こうなってしまっては仕方ない。人が来なくてもなんでも、主催ライブは開催しましょう。本人たちにもそう伝えて。」
🔖「…承知しました」
「業界内で変な噂が立てられているなら…来月のハロウィンイベントは、かなり苦しいものになるわ。Twinkler+Twinsも、あなたも。覚悟しておいて。そしてミア。あなたにできることは何か、考えなさい。面倒を見ているアイドルに何かあった時に真っ先に守るのが、私が育てたマネージャーよ」
🔖「!…はい」
プロデューサー室を後にして会議室に向かい、またもや机に突っ伏す。
溢れ出す涙を腕で受け止め、歯を食いしばる。
…私でさえ、現状に混乱しているし、苦しくて辛い。
じゃあ、メンバーたちは?
直接言葉を受け取る機会が多い、彼女たちは。
🔖「…違う…私がなんとかしなくちゃ」
私なんかより数百倍も傷ついているし、苦しいだろう。
だから、私はここで突っ伏して泣いているべきではない。
いまのままだと、メンバーたちを矢面に立たせて、それをただただ悲しんでいる人間だ。
私には、それを変えられるチャンスがあるのに。
私は…、ひとりの人間である前に、
🔖「Twinkler+Twinsのみんなの、マネージャーだ」
伊達に彼女たちと仕事してきていない。
彼女たちが立派で、真面目で、厳しいこともみんなで乗り越える力があって、なによりアイドルとして1番輝いていることを、誰よりも知っている。
悪い噂が事実でないことを、主催ライブを開催するかどうか真剣に悩んで答えを出そうとしていたことを、知っている。
なのに、何もしない?…答えは、否。
私は溢れ続ける涙を無視して、パソコンを開いた。
…とにかくいまは、原因究明が先だ。
彼女たちを救える、確実なものが見つかるまで…もう少し耐えていてください。
原因を見つけ出して、みんなの黒い噂を晴らす…その時まで。
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#TwinklerTwins #ツイツイ
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