正論、マタノ名ヲ…
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正論、マタノ名ヲ…
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drama …
僕は家を飛び出してきた。
なぜなら、何をするにも親からくどくどと聞きたくもないお小言を聞かされるのだ。正直こんな生活に飽き飽きしていた。だから抵抗の意味も込めて家から逃げ出して来たのだ。
宛もなく走り続け、結局逃げ込んだ先は目に付いたミルクホール。カランカラン、と入客を知らせる音が聞こえた。
「いらっしゃいませ、お好きな席へどうぞ」
店員の声でおもむろに店内へと足を運んだ。客は殆ど居らず、ほぼ貸切状態だった。
正直席なんてどこでも良かった。だから手っ取り早く近くにあったカウンター席に腰掛けた。食欲はあまりない為、牛乳を一杯 と無愛想に頼んだ。それは素早く僕の手元へ来た。
暫くやる事もなければ気持ちの消化も出来ず、席で項垂れているとカランカランと軽快な音が聞こえた。
誰か来たんだと思ったが、その人物が誰なのかなんて私にはどうでも良かった。このどうしようもない気持ちを消化したい一心なのだ。
突然隣から音が聞こえた。
まさかと思い音の鳴る方へ目線を送るとそこには見ず知らずの男子学生。
真「わざわざ隣に座る意味ないんじゃないかな」
鉄「どうも悩んでいるように見えたので」
今の僕とは真逆の愛想のいい笑顔を見せた。
真「悩んでるって分かったならそっとしておいてよ」
鉄「悩みは誰かに聞いてもらうと案外すっきりするッスよ。…店員さん!パンケエキお願いします!」
彼は何食わぬ顔で店員にパンケエキを頼んだ。
この人は何を言っているんだと思ったが、僕はこの気持ちをどうにかしたい欲に勝てるわけがなく、ポツポツと悩みを打ち明けることにした。
真「僕って結構いい家のお坊ちゃんなんだけど、あれは駄目、それも駄目って、何するにも親がうるさくてさ」
鉄「へぇ〜、ご両親の愛を感じるッスね」
真「なんでそうなるの!?毎日こんな事言われてごらんよ、窮屈すぎて死にたくなってくるよ」
鉄「確かに…?でもそれって、少し我儘なんじゃないッスか?」
さっきからこの男は何を言ってるだ、とイラついて声を荒らげようとしたが遮るように彼は言葉を続けた。
鉄「こんなに愛されて、家も裕福で、勉強もさせて貰えてるのに、どうしてそんなことが言えるんスか?この国にはそれを求めても与えられない人だっているんスよ」
真「そんなの分かってるよ!分かってるけど…僕はこんなの求めてない…」
真「帰るね」
と一言小さく告げながら机に代金を叩きつけて荒々しく店を出たのだった。
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[cast]
裕福な学生 遊木真(cv.ももか)
平凡な学生 南雲鉄虎(cv.杏豆)
#時代を超えし物語
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